メジャーレーベル上層部における男女格差と、見えてきた解消の兆し

左:アトランティック・レコードのジュリー・グリーンウォルド、右:エピック・レコードのシルビア・ローヌ(Photo by Stefanie Keenan/Getty Images, Jason Szenes/EPA-EFE/REX/Shutterstock)

ナッシュヴィル周辺のものも含め、アメリカには全部で13のメジャーレーベルのグループが存在する。そのうちのひとつであるソニーのエピック・レコードの舵を取るのは、女社長のシルビア・ローヌだ。同じくそのひとつであるワーナーのアトランティック・レコードでは、ジュリー・グリーンウォルドが共同経営者を務めている。この2社を除いては、すべてのレーベルで男性が社長の座に就いている(13という数字は主なメジャーレーベルを含むグループの数を指しており、各関連レーベルおよびサブレーベルは対象外としている)。

世界最大のレコード会社ユニバーサル・ミュージック・グループは、アメリカにおいてInterscope Geffen A&M、Republic Records、Def Jam、Capitol Music Group等を束ねているが、女性がトップを務めているレーベルはその中にひとつもない。

イギリスでも状況は似ているが、レベッカ・アレンが社長を務めるDeccaや、ジョー・チャーリントンが副社長を務めるCapitol等、ユニバーサル・ミュージック U.K.のレーベルの中には女性を重役に迎えているところもある。一方でUMGの最大のライバルであり、Columbia,、RCA,、Parlophone,、Atlantic、Warner Bros等の歴史あるレーベルを束ねるソニー・ミュージック・エンターテイメント、ワーナー・ミュージック・グループでは、女性が単独で会社を仕切っているケースは見られない。

統計によると、アメリカとイギリスの主だったメジャーレーベル26社(すべてユニバーサル、ソニー、ワーナーのグループ会社)のうち、女性が経営者または共同経営者となっているレーベルはわずか4社であり、全体の15パーセントにとどまっている。どちらの国においても、功績が認められた女性エグゼクティブはWomen In Musicにおいて表彰されているものの、レコード会社という分野においては、女性が重役に就いているケースは決して多くない。

こういった状況にスポットライトを当てたのは、イギリスのユニバーサル、ソニー、ワーナーの各グループが今月上旬に発表したGender Pay Gap(男女間の収入格差)の統計だ。各グループは毎年4月5日に同様のデータを公開しており、前年(このケースでは2018年4月5日の時点)における男女間の収入の違いを明らかにしている。

予想された通り、状況は芳しくなかった。3つのグループにおける男女間の収入格差(例:女性スタッフと男性従業員の平均収入の違い)は、平均で29.6パーセントにのぼっている。差が一番少なかったのは20.9パーセントのソニー・ミュージック U.Kであり、ユニバーサル・ミュージック U.K.では29.1パーセント、ワーナー・ミュージック U.K.では38.7パーセントという悲痛な結果が出ている。

Translated by Akiko Kato

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