女性メンバーを「性奴隷」に、自己啓発団体「ネクセウム」裁判の登場人物たち

米ニューヨーク州オールバニーにあるネクセウムのオフィス。(Photo by Amy Luke/Getty Images)

先日、自己啓発団体「ネクセウム」に女性らを勧誘し、指導者との性行為を強要するために脅したとされる女優のアリソン・マックが恐喝での有罪を認めたばかりだが、肝心の指導者、キース・ラニエール被告の裁判は4月末に開かれる予定。

公判手続きの時点ですでに様々なドラマが起きている。法廷での卒倒、児童ポルノ容疑、そして、いかにも2019年らしいが、マイケル・アヴェナッティ弁護士(NBAスターから200万ドルを横領した罪に問われている)のつかの間の登場。さらに驚いたことに、ラニエール被告を除くネクセウム裁判の被告全員が、起訴内容の一部で有罪を認めた。すなわち、彼の忠臣たちの少なくとも何人かは検察側に協力しているとみられ、裁判でラニエール被告に不利な証言をする可能性もある。

ラニエール被告の裁判まで数日と迫ったところで、ネクセウム裁判の登場人物をあらためてチェックしてみる。

その1:アリソン・マック

「人物像および起訴内容」

おそらく、ネクセウム裁判の被告の中で一番の有名人。ワーナーのTVドラマ『ヤング・スーパーマン』では、スーパーマンの友人クロエ・サリヴァンを演じていた。マック被告はラニエール被告の右腕だとみられ、ネクセウムの信者を秘密結社DOSに勧誘していた疑いで、性的人身売買および強制労働の罪で起訴されている。ポッドキャスト『Uncovered: Escaping NXIVM』や、DOSのメンバーだったサラ・エドモンソン氏がニューヨーク・タイムズ紙の身の毛もよだつ暴露記事の中で告白しているように、DOSのメンバーは「奴隷」と呼ばれ、「担保」(ヌード写真や、他人に知られては困る不名誉な情報など)をグループの「主人」に差し出さなくてはならない。

またメンバーは入会の儀式の一環として、マック被告とラニエール被告のイニシャルを象ったネクセウムの紋章の焼印を押された。マック被告は、焼印を提案したのは自分だと認め、タトゥーにするべきだという意見を一蹴した。「私はこう言いました。『ちょっとみんな、タトゥーですって? 誰でも酔った勢いで足首に“BFF”とか、トランプ・スタンプ(ウェストからチラ見えするようにいれるタトゥーのこと)を入れるでしょ。私も2つタトゥーがあるけど、なんの意味もないわ』」と、昨年ニューヨーク・タイムズ紙に語った。マック被告は信者勧誘の主力メンバーでもあり、エマ・ワトソンやビバリー・ミッチェルといった女優に接触し、ネクセウム入信を勧めていた(両者とも入信はしていない)。


Photo by Justin Lane/EPA-EFE/REX/Shutterstock

「罪状認否」

恐喝共謀罪1件、恐喝罪1件で有罪を認めた。今月上旬、マック被告は法廷で涙ながらに、ネクセウム事件での自らの責任を謝罪し、信者を勧誘してラニエール被告に「奉仕」させたことを認めた。「この事件の被害者の皆さんには大変申し訳ないと思っています」と、法廷で言った。「私がキース・ラニエールの教えを信じ込んだせいで、傷つけてしまった人たちに心からお詫びします」。ネクセウム裁判の被告の中でも、マック被告がラニエール被告の一番の側近であり、グループの運営に大きく関与していたことを考えると、彼女が有罪を認めたことは間違いなく最大の衝撃だ。禁固20年を求刑されており、9月に量刑判決が言い渡される予定。

Translated by Akiko Kato

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