踊Foot Worksメンバー全員で語る、ニューアルバム『GOKOH』全曲解説

M.04「HORSEMAN DRIFT ROMANCE」
「こんなロマンチックなこと言えるのがPecoriだなって思う」(SunBalkan)

Tondenhey:作ってるときから西部劇っぽさみたいのを思い浮かべてたんですけど、それをPecoriに渡したら今の時代の西部劇みたいな感じでリリックが上がってきて「すごいな」と思いました。

―デモを渡すときにイメージは言わないんですか?

Pecori:言ってないよね、今初めて聞いたかも。でもそうしようと決めてました。リリック書く前から「HORSEMAN」って入れようと思ってて。西部劇って何年ぐらい?

―アメリカの西部開拓時代は19世紀。

Pecori:ですよね。でも、それとはまったく違って、現代の人を描いていて。

SunBalkan:<そこのbitchesは素通り>とかすげえ好きなんですよね。<眠れない夜はあんたが愛おしい>とか、こんなロマンチックなこと言えるのがPecoriだなって思います。

Pecori:普段は言えないんですよ。歌詞ではそういうこと書けちゃいますね。


M.05「PRIVATE FUTURE」
「ポップの王道を行きたいっていう決意表明」(Pecori)

踊Foot Works - PRIVATE FUTURE - Special Video



Tondenhey:これがいちばん最初にできた曲かも。

Pecori:そうだね。前作出したすぐあとにTondenheyがデモを送ってきたんで、とりあえずラップ乗っけとくわって。それで「いいじゃん、いいじゃん」みたいな感じで寝かせておいたのを引っ張ってきました。ラップは、曲をもらったときからほぼ変わってないです。

―<ニッポン>っていう言葉が出てくるのが印象的ですね。

Pecori:<pop starニッポン>っていうのは、ポップの王道を行きたいっていう決意表明というか。来年2020年ですし、日の丸の前でポップスターやっちゃってるかもな、みたいな。

Tondenhey:でもこの曲って、ひとりで会話してるよね。ちょっと怖いなって思ったんだけど(笑)。

Pecori:それはね、普通なんだよね。俺映画とか観ながらもひとりで会話するんで。「ちょっと待って! ヤバいよねえ」って……え、言わないっすか?

全員:言わないよ……(笑)。


M.06「HELAGI」
「イギリスの黒人の兵隊さんが、国道沿いで車の中でうなだれていて、そいつが森に入っていくイメージ」(Fanamo’)

Fanamo’:なんかの帰りに新宿の居酒屋でPecoriとTondenheyと3人で飲んでて。僕が曲作ってるんですけどなかなかできてなかったんで、アドバイスをもらったんです。世界観もPecoriが――。

Pecori:かなり具体的に言って。

Fanamo’:米兵が何かに導かれて富士の樹海に行って。そこで死んじゃうんですけど、そこから『フランダースの犬』のラストみたいな、ちょっと開ける感じの賛美歌感につながる、みたいな。

Pecori: Enigmaの“Return To Innocence”って曲とかをリファレンスとして聴かせて、重いビートなしで声だけで構成するような感じにしなよって。

Enigma - Return To Innocence (Official Video)



Fanamo’:そのイメージが僕の中でイギリスの国道に変換されたんですよ。イギリスの黒人の兵隊さんが、国道沿いで車の中でうなだれていて、そいつが森に入っていくっていう。それが僕が作ったこの曲の前半。後半はまったく別の、Pecoriが結構前に作って送ってくれてたトラックをくっつけました。

―そもそも、なんで米兵だったんですか?

Pecori:それは全然、超適当っす。なんか日本人じゃない感じかなって。で、僕のパートで<ヒイラギは>って歌うところは、死んだ米兵を鎮魂してるって感じ。

Fanamo’:ははは、Do the鎮魂?

Pecori:米兵鎮魂is da shit。しかも日本人が。

―確かに、メロディはどこか日本っぽいですよね。

Fanamo’:この曲は(今作のサウンドエンジニアを務めた)illicit tsuboiさんの手腕もありますね。声は僕が家で、マイクから遠ざかって雄叫びみたいに録っただけなんですけど、雰囲気出してくれました。


M.07「VIRTUAL DANCER」
「“HELAGI”の流れから言うと、天に昇った米兵が月の上で踊ってる」(Pecori)

Fanamo’:結構気に入ってますね、“HELAGI”から“VIRTUAL DANCER”の流れは。

Pecori:これはTondenheyがトラックを送ってきて。ヴァースはFanamo’とふたりで歌ってるんですけど、“HELAGI”の流れから言うと、天に昇った米兵が月の上で踊ってるっていう。

Fanamo’:でも俺、なぜか芋洗坂係長になってる、その米兵が(笑)。

Pecori:だからそこはつながってる部分はあります。解放されて楽しく月で踊ってるっていう。最初は「DANCING IN THE GALAXY」ってタイトルにしてたんですけど変えたんです。普通に楽しい曲ですね。

―「VIRTUAL」って言葉をわざわざ付けたのはどうして?

Pecori:そこはあえてで、別に見えない人には見えない、バーチャル空間にしたほうがおもしろいかなって思ったって感じですね。

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