Keishi Tanakaが振り返る、ソロ活動とRiddim Saunterの「地続き」な関係

ー2017年に発表されたのが、初の詩集「真夜中の魚」。Keishi Tanakaのキャリアを作詞家としての側面から総括した重要作ですね。

詩集をだそうというアイデアは、Riddim Saunterのころから僕のことを知ってくれてる媒体の人が提案してくれたんです。僕の書く言葉を気にしてもらえていたのが素直に嬉しかったし、それなら是非やってみたいなと。ただ、ここでソロ以降の詞だけをまとめるのは違うなと思って。そもそもソロとRiddim Saunterは裏側では地続きだし、どうせならここで15年間の音楽活動をまとめたいなと。なので、詩集に伴う弾き語りのツアーではRiddim Saunterの曲もやったんです。別にそれまで封印していたわけじゃないんですけど、あの詩集をだしたことで、Riddim Saunterの曲をやる意味がそのときには感じてました。

ー2018年1月のシングル「This Feelin’ Only Knows」は、楽曲が完成したら即座にストリーミングで配信するというスピーディな展開も刺激的でした。

「This Feelin’ Only Knows」は僕がつくった曲の中でも特に強いメッセージをもっている曲ですね。この感情のみぞ知る。要は「ゴッド・オンリー・ノウズ」ではなくて、自分で決めていこうという意思表示なんです。で、その曲をどうやって出そうかと考えたときに、ここはストリーミング配信でいち早く聴いてほしいなと。そのスピード感がすごく楽しかったので、the band apartとのスプリット・シングル「Break It Down」もすぐにストリーミングでリリースしました。

ーストリーミングならではのスピード感を楽しんでみようと。

ええ。僕もストリーミングはおもしろいツールだなと思っていたし、違法のものと勘違いしなければ、今はリスナーにとってすごくいい時代だと思うので、そこはちゃんと伝えていきたいなって。ただ、それを押しつけたくはなかったので、もちろんフィジカルも用意しました。ちゃんとすべての人が聴けるようにしたかったので。



ーその「This Feelin’ Only Knows」「Break It Down」も収録されるニュー・アルバム『BREATH』は、レーベルを通さずにセルフ・リリースされるようですね。

単純に、今の自分にはこのやり方が合ってる気がしたんです。そう思えたのは、今の事務所に移籍してそういう理解があったことも大きいし、もちろん「This Feelin’ Only Knows」と「Break It Down」の手応えもありました。ストリーミングによって、今までは届かなかった人にも僕の曲を聴いてもらえてるし、今はこのスピード感で動いていきたいなと。一方でレーベルの協力が必要だと感じている部分もあるのですが、そこについては『BREATH』をだすことでいろいろわかってくると思います。いずれにしても、このタイミングで活動環境を整理できたのはよかったですね。



ー音楽をとりまく状況は目まぐるしく変化していますが、どうやらKeishiさんはその変化を楽しんでいるようですね。

そうですね。もちろん迷いもあるんですけど、今だからこそ楽しめることがたくさんあるわけで、そっちをしっかり見ることのほうが重要かなって。僕はプレイリストで聴いてもらえるのもすごく嬉しいし、やりようによってはいくらでも楽しめる時代だってことは、リスナーにも伝えたいし、音楽をやる人たちにも伝えたいんです。ただ、『BREATH』にはストリーミングで公開しない「疎雨」という曲があって。というのも、「疎雨」は僕のCDやレコードを買ってくれる人や、ライブに足を運んでくれてる人に向けて書いた曲なんです。たまたま耳にする人のことを意識していないというか。そういう曲がひとつくらいあってもいいかなって。これ、今までの話と矛盾しているように感じる人もいるかな。



ーきっと伝わると思います。プレイリストから流れてくる曲を聴くのと、主体的にアーティストの作品を手に取るのはまた別だと思いますし。そんな『BREATH』のリリースを控えるなか、まずはベスト盤『CLIPS』を携えたツアーが始まります。

今までは届いてなかった人たちに自分の音楽を聴いてもらえてるのを最近は肌で感じてるので、ベスト盤はその入門編になればいいなと思ってます。そして、そのあとのライブを共有するというところまでいきたい。僕はライブがメインなので。そのベスト盤を携えた東名阪のワンマン・ツアーを回ったら、そこからはすぐ『BREATH』にむかっていこうかなと。僕がなにかをすることで物事が大きく変わるとは思ってなくて。それこそ『BREATH』が世にでることで誰かの人生がいきなり変わるなんてことはないと思う。でも、その変化のきっかけにはなるかもしれない。そういうふうに作品が育てばいいなと思うし、そういうライブがやりたいんですよね。



〈リリース情報〉


Best Album

『CLIPS』
発売中


4th Album

『BREATH』
5月8日(水)リリース
※初回限定特典 『BREATH by Photo & Word』
山川哲矢氏による撮り下ろし写真と、Keishi 本人によるライナーノーツ。さらにロングインタビューも掲載。

〈ライブ情報〉

CLIPS RELEASE TOUR

4月26日(金)東京 キネマ倶楽部
4月28日(日) 名古屋 CLUB UPSET
4月29日(月・祝) 大阪 Shangri-La

■メンバー
Vocal : 田中啓史
Drums : 小宮山純平
Bass : 田口恵人 (LUCKY TAPES)
Guitar : 四本晶
Piano :  別所和洋 (Gentle Forest Jazz Band)
Tenor Saxophone : 黒須遊 (RIDDIMATES)
Trumpet : 阿部健太 (videobrother, The SKAMOTTS)
Chorus : Achico (Ropes)


BREATH RELEASE TOUR

6月9日(日)新潟 GOLDEN PIGS BLACK STAGE
6月21日(金)横浜 F.A.D
6月27日(木)京都 MUSE
6月28日(金)福山 Cable
6月29日(土)高松 TOONICE
7月7日(日)福岡 INSA
7月24日(水)宇都宮 HELLO DOLLY
7月25日(木)仙台 enn 2nd
8月2日(金)四日市 Club Chaos
to be continued

■メンバー
Vocal : 田中啓史
Drums : 小宮山純平
Bass : 田口恵人 (LUCKY TAPES)
Guitar : 四本晶
Piano :  別所和洋 (Gentle Forest Jazz Band)
Tenor Saxophone : 黒須遊 (RIDDIMATES)
Trumpet : 阿部健太 (videobrother, The SKAMOTTS)

詳細:
http://keishitanaka.com/

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