Keishi Tanakaが振り返る、ソロ活動とRiddim Saunterの「地続き」な関係

Keishi Tanaka(Courtesy of ヒップランドミュージック)

ソロ・アーティストとして駆け抜けてきた2012年以降のキャリアを総括する、2枚組のベスト盤『CLIPS』を先日リリースしたKeishi Tanaka。今年5月に通算4枚目のアルバム『BREATH』のリリースも控えている彼に、Riddim Saunter解散からソロ活動の始動、そして現在にいたるまでの歩みを振り返ってもらった。

ーRiddim Saunterの解散後、Keishiさんはすぐにソロ活動を開始しましたよね。アクションの早さに驚いたのをよく覚えています。

Riddim Saunterは2011年9月に解散したんですけど、解散を決めた直後にはソロでやることを決めてました。いろいろ選択肢はあったと思うんですけど、僕の場合はヴォーカリストなので、サポート・ミュージシャンをやるということはまったく頭になくて。新たにバンドを組むことも一瞬考えましたけど、それならRiddim Saunterを続ければいいじゃんと思って。そうなると、すぐに動き出せるのはソロだなと。バンドを解散したのは、あくまでも音楽を続けていくための決断だったので、あまり間隔を空けたくはなかったんですよね。できる限りすぐに始めたかった。

ーソロ活動のはじまりが弾き語りだったのは、そのスピード感を意識してのことだったのでしょうか?

そうですね。それに弾き語り自体があまり経験のないことだったので、まずはやってみようと。ただ、弾き語りをメインにやっていこうとは思ってなかったので、なるべく早くバンド・セットを動かしたいなと考えてました。1stアルバムもなるべく早く出したかったし。

ーソロの開始当初は、よりジャズっぽい音楽性もイメージしていたんだとか。

確かにそんなことも言ってましたね。もっと具体的に言うと、当時は「フジロックのオレンジコートを目指そう」と思ってました。立ったことないステージだし、2007年にオレンジコートで観たFeistのライブが良すぎたというのが理由です(笑)。それでバンド・メンバーもジャズの人たちを集めてみたりして、それはそれでよかったんですけど、一方で僕はジャズを突き詰めたかったわけではなくて。むしろ、僕はいい意味で偽物感のあるものがいいなと思っていたので、そういうイメージが生きる方向性にすこしずつシフトさせていきました。これはジャズに限らず、僕はジャンルに捕らわれたくなくて。曲をつくっているときにイメージしたものがレゲエのリズムだったとしたら、迷いなくそれをやりたいし、それができるのもソロの強みだなって。そういう感覚は1stアルバム『Fill』にも反映されてると思います。





ーその1stアルバムの前にまず発表されたのが、CD付きソング・ブック『夜の終わり』。あの作品もまた、Keishi Tanakaというソロ・アーティストの多面性を示した作品でした。

バンド・セットでフルアルバムを出す前に、まずは自分ひとりでなにか作りたいなと。それで思いついたのがソングブックでした。曲と詞と、それに伴う情景。この3つが平等になるような作品を作りたいなと。

ー「情景」がポイントですね。

昔から情景を意識した歌詞を書いています。なので、そこをうまく伝えられるような作品が作りたかった。

ーそこにはRiddim Saunterとソロ活動が地続きであることを伝えたいという思いもあったのでしょうか?

ええ。僕にとって、ソロ活動を始めたことはリセットではなく、むしろそれまでやってきたことに何かが足されていくイメージだったので。あと、その時点で2ndアルバムくらいまでのイメージはあったので、そこに進むむためにドラムや鍵盤の演奏なんかも含めて、自分一人でどこまで出来るのか試したかったんです。それがソロとしての決意表明にもなるんじゃないかなって。

ーソロ活動をスタートさせた頃から、2ndアルバム『Alley』までの構想があったということ?

自分の頭のなかにあるものを形にするためには、とりあえず2枚くらいはかかるだろうなと思ってたんです。つまり一枚目と二枚目に関しては、作詞作曲はもちろん、ストリングスやコーラスなどのこまかいアレンジもできる限り自分でやってみて、それを参加ミュージシャンに演奏してもらう考え方で作っています。


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