BLACKPINK、コーチェラに降臨 その歴史的瞬間を現地ルポ

BLACKPINKがコーチェラで成し遂げたものとは?


セットリストはざっくり分けて二部構成となり、バック・ダンサーは全8名。「FOREVER YOUNG」ではJENNIEのラップに一字一句漏らさず追従するファンに圧倒されたし、惜しげもなく披露された「STAY (Remix version)」の合唱も感動的だったが、「Kiss and Make Up」(コーチェラなので期待したけど、デュア・リパの飛び入りはありませんでした)の後には、「SAHARA」に集まった大観衆に驚いたROSÉが「一体どれだけの人がここにいるの? こんなのCGに違いないって(笑)!」とMCでその嬉し恥ずかしな本音を吐露していた。コーチェラの1週目と2週目の間には現地のラジオ番組や『レイト×2ショーwithジェームズ・コーデン』などに出演していたBLACKPINKだが、今回の北米ツアーでは4人中もっとも英語が堪能なROSÉのリーダーシップに感銘を受けたBLINKも多いだろう。

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Photo by Scott Dudelson/Getty Images for Coachella

LISAとROSÉがステージを端から端まで駆け抜けてオーディエンスのウェーヴを巻き起こすと、ROSÉの「ミス・ジェニー・K!」を合図にJENNIEの見せ場「SOLO」へ。フェスの尺の都合上、ソロ・コーナーが用意されたのは彼女だけとあって相当な緊張が伺えたが、リアーナとテイラー・スウィフトが同居したような挑発的&ガーリーな仕草でファンを魅了。The Band Sixによるシンフォニックかつ壮大なジャム・セッションを挟んでの後半戦では、パイプオルガンを模したホーンの映像が映し出され「待ってました!」と言わんばかりの喝采を呼んだ、「Kill This Love」からの新曲3連発だ。とりわけ、ROSÉの艶のある歌声とJISOOの美声コーラスが軽やかに飛翔していくEDMソング「Don’t Know What to Do」の「SAHARA映え」は目を見張るものがあり、JISOOがアジア公演のソロ・コーナーで(同じくコーチェラに出演していた)ゼッドの「Clarity」をカバーしていたのは布石だったのかもしれない。続く「Kick It」は、リトル・ミックスの「Shout Out to My Ex」を彷彿とさせるサビの突き抜けっぷりが原曲以上に多幸感をもたらしてくれたし、客席から投げ込まれたハットをJENNIEとROSÉが被ってみせるキュートな一幕も。

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Photo by Scott Dudelson/Getty Images for Coachella

「韓国からやって来た私たちは、まったく異なる文化を持つこの国で何を期待したら良いか分からなかった。でも今夜、音楽が私たちをひとつにしてくれるんだと学べたわ」というROSÉのMCに続き、JISOOが「今日という日を一生忘れないよ!」と告げると、LISAが「ラスト2曲!」と叫んで「BOOMBAYAH」と「AS IF IT’S YOUR LAST」でクライマックスへ。場内を埋め尽くした数万人のオーディエンスによる「BLACKPINK in your area!」のコールは信じられないほど尊い瞬間だったし、4人がその長い手足や美しいロングヘアを振り回す一糸乱れぬシンクロには、周囲のBLINKからの絶叫が止むことはなかった。あまりの熱気に現場では気づかなかったのだが、ホテルに戻った後に中継の再放送をチェックしたところ、JENNIEが「BOOMBAYAH」でのポジショニングをミスったり場の空気に呑まれてしまっているシーンも散見され、その都度LISAやROSÉがさりげなくアシストする姿にグッときてしまった。

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Photo by Scott Dudelson/Getty Images for Coachella

振り返ってみれば、PAエリアにもカメラクルーにもローディーにも「BLACKPINK」のロゴ入りマスクを装着した韓国人スタッフが総動員だったし、舞台裏では一流のヘアメイクとスタイリストとマネージャーが見守っていたわけで、BLACKPINKのプロフェッショナルなパフォーマンスは、JISOO、LISA、ROSÉ、JENNIEの血の滲むような努力はもちろん、そんな「裏方」のチームワークの賜物でもある。時間も演出も制約だらけのフェスの舞台だけど、彼女たちの輝かしい挑戦は韓国の……ひいてはアジアに生きるすべてのアーティストに勇気を与えてくれたはずだ。

ちなみに、今年のコーチェラにはソウル出身のジャンビナイや、日本でも絶大な人気を誇るヒョゴといった韓国のバンドも名を連ねていたのだが(アジアという括りでは野口オロノ率いるスーパーオーガニズムやPerfumeも)、2020年のコーチェラにはBTSやNCTのようなボーイズ・グループが出演しても何らおかしくはないだろう。BLACKPINKがコーチェラ出演で成し遂げた功績は、目に見える部分でも、見えない部分でもあまりにも大きい。

(Photo by Natt Lim/Getty Images for Coachella)
Photo by Natt Lim/Getty Images for Coachella

コーチェラの楽屋では、ディプロやジェイデン・スミスらと交流する姿がインスタグラムで話題となっていたBLACKPINKだが、4月17日にイングルウッドのザ・フォーラムで行った単独公演には、ハリー・スタイルズ、DJスネーク、ベニー・ブランコ、レイニー、ファレル・ウィリアムスといった錚々たるセレブリティが顔を出したという(コーチェラの2週目では遂にアリアナと対面を果たせるのか?)。既にフィーチャリングやプロデュースのオファーは星の数ほど殺到しているだろうし、JENNIE以外のソロ・プロジェクトも未だ待機中という状態ではあるが、もはや彼女たちの行く先には明るい未来しか待ってない。

そして、BLACKPINKがますます遠い存在になってしまったと嘆く日本のBLINKに朗報。12月4日の東京ドームを皮切りに、3都市全4公演で20万5000人を動員予定のジャパン・ツアー「BLACKPINK 2019-2020 WORLD TOUR IN YOUR AREA in JAPAN」の開催が決定したのだ。夏には「サマーソニック2019」への出演も決定しているが、北米、ヨーロッパ、オーストラリア・ツアーを経て文字通りワールドクラスとなった彼女たちの「今」をどうかお見逃しなく。

Rolling Stone Japan 編集部

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