ボブ・ディラン『ナッシュヴィル・スカイライン』知られざる10の事実

Ryman Auditoriumで行われた『The Johnny Cash Show』(ABC/TV)収録時のボブ・ディラン、1969年6月7日 テネシー州ナッシュヴィルにて(Michael Ochs Archives/Getty Images)


2. 「レイ・レディ・レイ」は1969年公開の映画『真夜中のカーボーイ』に使われる予定だった

アルバムの制作に着手する数ヶ月前、ディランは撮影中だったジョン・ヴォイトとダスティン・ホフマンが共演する映画への楽曲提供を依頼されていた。しかし彼が「レイ・レディ・レイ」を監督のジョン・シュレシンジャーに聞かせた時、映画にはフレッド・ニールの「うわさの男」のハリー・ニルソンによるカバーが使われることが既に決定していた。

1968年秋、ディランはニューヨークでのコンサートのバックステージで対面したエヴァリー・ブラザーズに同曲の使用を打診した。2人はその申し出を断ったと言われていたが、彼らは1986年に行われたカート・ローダートのインタビューで真相を明かしている。「歌が部分的にしか入っていなくて、曲の使用を打診されているのかどうか、僕らには判断できなかったんだ」ドン・エヴァリーはそう話している。「忘れられない思い出の一つだね。約15年後にその曲を使わせてもらうことになったわけだけどさ」

3. 「レイ・レディ・レイ」にはクリス・クリストファーソンがパーカッションで参加(?)している

ノーマン・ブレイクのスチールギターとディランのクルーナーボイスが印象的な魅惑のバラード「レイ・レディ・レイ」は、初期の段階ではドラムが入っていなかった。ドラマーのケニー・バトレーがイメージについて尋ねると、ディランは「ボンゴだ」と答えたという。バトレーは古びたボンゴのセットを見つけてきて、ライターを使って皮の張りを引き締めた。彼はジョンストンのリクエストに応じてカウベルも用意した。

当時スタジオの雑用係だったクリストファーソンは、バトレーのドラムの脇に立ってボンゴとカウベルを支えているよう命じられた。バトレーはこう語っている。「ドラムセットの隣の灰皿を空にしていた彼を捕まえてこう言ったんだ。『おいクリス、悪いけどこの2つを支えといてくれ』ってね」

4. 「トゥ・ビー・アローン・ウィズ・ユー」の冒頭におけるディランの「ボブ、テープは回ってるのか?」という言葉は、プロデューサーのボブ・ジョンストンに向けられている

ジョニー・キャッシュ、サイモン&ガーファンクル、レナード・コーエン等のプロデュースでも知られるジョンストンは、1965年作『追憶のハイウェイ 61』で初めてディランとタッグを組んだ。ディランは伝説的プロデューサーであるトム・ウィルソンと多くのセッションを共にしていたが、「ライク・ア・ローリング・ストーン」以降、2人は袂を分かっていた。

ウィルソンからジョンソンに交代した理由については、今日に至るまで明らかにされていない。常に世間を煙に巻いてきたディランは、1969年にローリングストーン誌にこう語っている。「昔は現場に行くと、そこには必ずトムがいた。ずっとそれが続くと思ってたけど、ある日スタジオでふと顔を上げてみると、そこにいたのはボブだった」

Translated by Masaaki Yoshida

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