BTS(防弾少年団)新作レビュー「ポップの巧者による唯一無二のミクスチャー感」

BTS(防弾少年団)(Courtesy of BTS)

BTS(防弾少年団)の最新アルバム『MAP OF THE SOUL:PERSONA』。ローリングストーン誌によるレビューをお届けする。

K-POP界の新たな主役は、ホールジーをフィーチャリングしたディスコ曲「Boy With Luv」を先週金曜日に発表。その後、今週はじめにはSpotifyの全米ランキングTOP 5入りを果たし、POPS系のラジオ・ステーションで大量にOAされていた。

こうした熱狂的な反応は、アメリカのポップ・シーンでBTSの地位が不動のものになったことを物語っている。2016年のアルバム『Wings』は同年11月26日付全米アルバム・チャートの26位がせいいっぱい。それが翌年には7位まで順位を伸ばした。いまや彼らの人気は右肩上がり。昨年は2度も、発売後いきなり全米チャート1位に輝いた。



メジャー系レーベルが新人アーティスト発掘に見切りをつけ、既に話題のアーティストの勢力を拡大させることに力を注いでる間、BTSや似たような類のK-POPグループは自由に音楽をやっている。20年前、羽振りの良かった頃のR&Bやポップのサウンドとアクロバティクな演出を巧みに操り、もはやアメリカ人アーティストは敵ではないと安心していることだろう。だから、BTSの最新アルバム『MAP OF THE SOUL:PERSONA』が3度目の全米チャート1位を達成しても、そんなに驚くことではない。



これまで同様、彼らは初期Def Jam系のラップロックから疾走感あふれるエレクトロポップ、囁くようなバラードまでさまざまなスタイルを駆け抜け、韓国語、英語、ときにスペイン語もちりばめながら(「Home」)歌う。こうしたミクスチャー感は、BTSにとってはお手の物。だが、新作はやや型にはまっている感じもある。これまでにもニューディスコやエレクトロポップ、ラップロックの楽曲はあったが、もっと切れ味が鋭く、激しく、そしてダークだった。今回、もっともしっくりきたのは「Make It Right」。何を隠そう、エド・シーランとの共作だ。たった1本のホーンで奏でられるメロディがいい味を出している。2000年代中期にリリースされていたら、エイメリーの「1 Thing」やマリオの「Let Me Love You」と肩を並べていただろう。

総じて『MAP OF THE SOUL:PERSONA』は、BTSの難攻不落ぶりを改めて世に知らしめる1枚だ。どんな業界にも言えることだが、現代のポップのトップアーティストに求められる資質は常に上を目指す姿勢。本作はBTSの歴代セールス記録を更新することはほぼ間違いない。「Boy With Luv」はYouTubeの全世界での再生記録を2つも塗り替えた。K-POPの神の躍進は続く。

Translated by Akiko Kato

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