野音ワンマン直前のクリトリック・リス、坂本慎太郎からの助言に対して「ボタンを押す人」オファー

坂本慎太郎と、4月20日日比谷野音でワンマンを開催するクリトリック・リス(Photo by RYUTARO SAITO)

2019年4月20日、今年50歳を迎えるパンツ一丁のスギムによる音楽ユニット、クリトリック・リスが、日比谷野音でのワンマンライブに臨む。サラリーマンをしていた36歳の頃、行きつけのバーの常連客たちと酔った勢いでバンドを組んだものの、初ライブ当日に他のメンバー全員がドタキャン。やけくそでリズムマシーンに合わせてパンツ一丁で行った即興ソロ・パフォーマンスが〈笑えるけど泣ける〉と話題になり、活動を開始……そこから14年間、会社も辞めて全国を巡りライブを行ってきた男の一世一代の大勝負が行われる。

そんなクリトリック・リスと坂本慎太郎との居酒屋での対談が実現。なぜこの2人がというと、かつてスギムが書いていたブログに、ちょくちょく坂本が登場して一緒に酒を酌み交わしていることがあった。話を聞けば、オシリペンペンズをきっかけに出会い、スギムが勝手に写真を撮ってアップしていたという……。そんなめちゃくちゃなきっかけにも関わらず、今回の対談を快く快諾してくれ、対談後は終電まで一緒に酒を交わし、帰り道にはここは書けない野音での演出アイデアまで出してくれた。日比谷野音は来年、オリンピックイヤーということもあり、ほとんど使用することができない。平成も終わろうとしている420日、パンツ一丁というまさに裸一貫で3000人キャパのステージに立つ。果たして伝説は生まれるのか?……と大きなことを語ったものの、対談は思わぬ心配事へと行き着くことに。いろんな意味で420日はなにが起こるのか。その答えは現場にある。

―本日はよろしくおねがいします! 対談の進行をさせていただく西澤と申します。クリトリック・リスの自伝本を作るために独立して会社を作ったんですけど、50歳の記念で野音ワンマンをやりたいという話が取材の中で出てきて。野音使用権の抽選に応募したら当選して、そこからいろいろ手伝っています。

坂本慎太郎(以下、坂本):自伝を作るために会社を辞めて起業するってすごいじゃないですか。

スギム:一昨年の12月くらいに、久しぶりに西澤くんと飲む機会があって。野音を使用するための抽選は法人名義じゃないとできないので西澤くんに行ってもらったら、400倍近い倍率やのに一発で当たって。50歳を前にした僕にとっての一大イベントなので、クリトリック・リスを知らなかった人たちにも知ってもらえるようにと、この間アルバム(『ENDLESS SCUMMER』)もリリースしたんですけど、そのプロモーションまで手伝ってもらってて。仕事じゃなくて、ボランティアなんですよね。



坂本:(クリトリック・リスは)メジャー・デビューしたでしょ? 今作はまた違うの? 流れでずっとメジャーでやっているんだと思っていた。

スギム:いや、違うんです。今回のアルバムは完全に自主で作ったんですよ。野音もアルバムも、西澤くんを含め4人でチームを組んでて、全部自分たちでやってます。僕は野音でゆらゆら帝国を見たことあるんですよ。初めてゆら帝を観たのは多分1999年やと思います。

坂本:東京で? 大阪で?

スギム:大阪です。その頃から、ゆら帝と坂本さんを追っかけさせてもらっているので、今日はいろいろご意見を聞かせてもらえたらなって。

坂本:ご意見は特にないと思うんですけど(笑)。どうですか? チケットの売れ行きは?

スギム:最初告知した時、800人ぐらい先行で申し込んでくれたんですよ。でも800人全員が入金してくれた訳でもなくて……。そこから手売りやプレイガイドで、今1000枚ちょっとですね。3000人キャパなんですけど、僕の周りの親しい人たちがまだ全然買うてくれてないですね……。

坂本:当日ふらっと来る人が多いんじゃない? 前売りを買う習慣がないでしょ、みんな。

―たしかに直前でチケット買ってくれる人は多いと思うんですけど、スギムさんが自腹で制作費を出しているので心配で……。この対談が意外だと思う読者の方もいると思うんですけど、昔スギムさんがやっていたブログに坂本さんと飲んでいる姿が何回か出てきていましたよね。付き合い自体は長いんですよね。

スギム:それね、俺、勝手にやっていたんですよ笑)

坂本:そう。最初はパパラッチみたいに勝手に撮って載せていたんですよ。だから、めちゃくちゃ警戒していて。打ち上げとかに来たら、絶対写真を撮らないように何度も言って。

スギム:坂本さんを好きな衝動が失礼な行動に向かっていっちゃっていたんです。ギラギラしていたんですよ。あの頃は笑)

坂本:ブログを見る分にはおもしろいんだけど、登場するのはちょっと笑)

スギム:肖像権とか無視してガンガン載せていたので。

坂本:あれで大阪のアンダーグラウンド・シーンのこと学んだんだけどね。ほとんど知らない人だったけど笑)

Rolling Stone Japan 編集部

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