渡辺志保×DJ YANATAKE「2019年最注目のラッパー、ブルーフェイスの魅力」

ブルーフェイス(Photo by Stephen Maturen/Getty Images for Spotify)

毎回、ヒップホップにまつわる特定のトピックを選んで、じっくり深掘りして伝えていこうという連載「INSIDE OUT catch up!」。今回は話題の新鋭のトピックから。

※この記事は現在発売中の「Rolling Stone JAPAN vol.06』に掲載されたものです。

DJ YANATAKE(以下Y):今年も、年が明けて3カ月くらい経つけど、例年に比べてもっと何かあってもいいのかな?っていう感じはあるね。

渡辺志保(以下、S):少しスロウな印象はありますかね。今年に入って気になる新人はいますか?

Y:とにかく、ブルーフェイスかな。今、名前を知っておかないとヤバいと思うし、クラブでもDJが一番彼の曲を掛けてるくらいの存在だよね。

S:しかも、一晩に何回も掛かっちゃうくらいですしね。

Y:ある日を境に、俺のSNSがブルーフェイスだらけになっちゃって。ちょうど彼がCash Money Westとサインしたくらいかな? とにかく、彼の顔を見ない日はないくらいだった。USのシーンはある新人が出てくると、あらゆる手段を使って彼のことを盛り上げるという向きがあるからね。でも、なんでこんなに人気なんだろう?

S:……イケメンだから?

Y:それもある(笑)。最初の頃はオフビートのフロウが人気を集めてるのかな?と思ったんだけど、彼のイケメンさも人気の秘訣になってるのかな。





S:あとは、クリップスをレペゼンしながらも、ブラッズに所属するYGやカーディ・Bともリミックスを作っているところも新しいと感じたし、とにかく若者の間でミームとして超バズっているのがデカいですよね。ブルーフェイスがインタビューで「俺は、金になって戻ってくるならいくらでもミームになる」と答えていたんですけど、それって、最近の子の考え方なのかなと思いました。まあ、ドレイクは既に進んでミームになっていますけど。日本のラッパーの子にも、最近はそれだけ割り切って考えている子がいるのかな?

Y:SNSをうまく使う世代、ってことだよね。物心ついたときにはすでにSNSがあるわけだし、ちょっと炎上した人がすぐに病んじゃう……みたいな感覚ではもはやないんだろうね。

S:今年に入ってからは、国内のリリースのほうがなんだか目につくなという印象です。

Y:やっぱりKOHHのアルバム『untitled』がいきなり出たのは驚いたよね。

S:LOOTAの『Gradation』と同時発表でね。

Y:ONE OK ROCKのTakaとの新曲MV「I Want a Billion」のMX4Dバージョンを渋谷の109前で公開するという仕掛けもすごく面白かった。



S:海外の人と話していて、やっぱりKOHHくんのことは大体の人が知ってるんですよね。この間、初めて韓国に遊びに行ったんですが、韓国に住んでるアメリカの男の子も「It G Ma」を通してKOHHくんのことは知っていて。今回のアルバム『Untitled』はそういったユニバーサル感もありましたね。

Y:最近、KEN THE 390がペルーでライブを盛り上げている様子がインスタグラムにUPされていたしね。それが全部イコールとは思わないけど、「It G Ma」以降、日本語のまま海外でも盛り上がる機会が増えてきているのかなと感じるよね。

S:Higher Brothersは、フックでは英語を使っていることもあるにしろ、中国語のままラップして今や全米をツアーするまでになっていますし。

Y:今までは考えられないくらいの流れになってきてるよね。

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