「ただ楽しい」が最強の理由、SILENT SIRENの音楽に宿る信念

―前作『GIRLS POWER』はスケジュール的にかなり大変だったそうですけど、今回はどうでしたか。

ひな:『GIRLS POWER』は本当にギリギリだったので、今回は早めに取り掛かりました。

すぅ:『GIRLS POWER』も本当は早いペースで進んでたんだけどね。

あいにゃん:あのときは何してたんだろうね?(笑)ああ、ライブで忙しかったんだ。

すぅ:しかも、パターンを出さなきゃいけなかったんですよ。10パターンとか。

―パターン?

ひな:サビを違うのにしてみようとか、イントロを変えてみようとか、修正がけっこう入るんですよ。だから、「明日のレコーディングって、どのパターンで録るんだっけ?」みたいなことが多くて。だけど今回は、スタッフさんから「自分たちが納得いく形でやったらいいんじゃない?」って言ってもらえた部分が多かったからのびのびとできたし、その分責任感を持って取り組めたと思います。

―おお、それは大きな変化ですね。

ひな:あと、『GIRLS POWER』のときは、歌詞や演奏に関して「なんでそうしたの?」っていう理由をよく聞かれたんですよ。だから、自然とうちらもそういうことを考えるようになって、「私たちはこう思ったからこうしてみたいんですけど、どうでしょうか?」っていうことが聞けるようになって。「大人になったな」って思いましたね。

―それもさっき話していた人間関係の大事なところですよね。そうやって4人に委ねられる部分が多かったからなのかは分からないですけど、これまでよりもストレートに4人の色が出てると思いました。ビール好きのあいにゃんさんが作詞を手掛けた「ALC.Monster」や、「天下一品のテーマ」「Letter」「Happy Song For You」は特にそういう印象を受けます。それは自分たちのやりたいことを突き詰めていった結果そうなったのか、気付いたらそうなったのか。

すぅ:気付いたら、ですね。

―じゃあ、今の話を聞いてどう思いますか。

すぅ:今回で6枚目のアルバムになるんですけど、自分たちのクセがだんだん定着してきてて、歌詞や演奏面で似てるフレーズを敢えて多用してるんですよ。そういうのが今回、パートごとのサイサイっぽさがはっきり出てる理由なんだと思います。だから無理して難しいことを詰め込んでない分、各々のクセがよく見えるし、そういうところが気に入ってます。

―ああ、なるほど。

すう:昔は、クボくん(クボナオキ・SILENT SIRENのサウンドプロデューサー)らしさが強く出てたんですよ。彼の「ポップにせなあかんで精神」が。その頃、うちらはまだ自分たちで曲が作れなかったしアレンジもできなかったから、クボくんが作ったものをそのままやってたんですけど、だんだん「こういうフレーズが弾きたい、叩きたい」っていう意識が強くなってきて。だから今回はクボナオキらしさじゃなくて、各メンバーらしさがより出てるんです。

―確かに今作はアレンジが比較的シンプルだし、4人の音が鳴っているという印象が強いです。

すぅ:クボくんのスタンスも「一応、こういう感じで作ったけど、これを聴いた上で自分たちなりにアレンジしてみて」っていうふうに変わったので、クボくんが作ったものを基本にして、ちゃんと自分たちの判断でアレンジすることが多くなったと思います。

―ひろせひろせさんが編曲を手掛けていることもあるんでしょうけど、「Letter」も以前ならもっといろんな音が乗ってそうですよね。

すぅ:たぶん、クボくんがアレンジしたらめっちゃサイサイっぽくなってたと思います。

ひな:この曲は、今までのサイサイになかった色を引き出してもらおうっていうことで、敢えてクボくんが関わらないで作ったんですよ。なのでこれは新しいですね。

―「恋のエスパー」や「無重力ダンス」もキャッチーでいいんですけど、今回個人的にグッとくるのは「Letter」とか「REBORN」なんですよね。

すぅ:落ち着いてる系の曲だ。

あいにゃん:今回、意外とミドルの曲が多いんですよね。



―アレンジに関してもアコギが多めで。

すぅ:アコギは意識して使おうと思いました。「渇かない涙」も「卒業」もそう。「卒業」は、最初はもっと爽やかな感じだったんですけど、あとからアコギを重ねました。あと、「REBORN」でもアコギが薄く鳴ってますね。実は「Go Way!」にも入ってるし。

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