1950年代の超人気クイズ番組スキャンダルの当事者、93歳で死去

1950年代のクイズ番組『21』に出場し、事前に答えを受け取って八百長をしたチャールズ・ヴァン・ドーレン氏。享年93歳。(Photo by Walter Sanders/The LIFE Picture Collection/Getty Images)

1950年代、アメリカで国民的人気を誇ったクイズ番組『21』に解答者として出場し、事前に答えを受け取って不正に勝利を手にしたチャールズ・ヴァン・ドーレンが93歳で他界した。息子のジョンがニューヨーク・タイムズ紙に語ったところでは、死因は自然死。ここ数年暮らしていたコネチカット州コーンウォールの老人ホームで息を引き取ったという。

ヴァン・ドーレンは1925年2月12日、ニューヨークシティ生まれ。父はピューリッツァー賞を受賞した詩人兼評論家のマーク・ヴァン・ドーレン。ケンブリッジ大学とコロンビア大学で勉強し、1957年にNBCのクイズ番組『21』のオーディションを受けた時は、コロンビア大学で英語を教えていた。

多くの表彰歴を持つ31歳の大学教授は、1956年11月28日から1957年3月11日までの14週間、番組に出演。歴史、医学、地理、そのほか多岐にわたる質問に答えていった。連勝記録で12万8000ドルの賞金を獲得した彼は国民的スターとなり(タイム誌の表紙も飾った)、彼のおかげで番組も高視聴率をたたき出した。出演終了後もNBCと3年契約を結び、『トゥデイ・ショウ』などに出演した。

だがTV局の発表とは裏腹に、彼の番組出演はやらせだったのではないかという噂が広まった。1959年11月2日、ついに彼は議会公聴会で事前にクイズとその答えを受け取っていたことを告白――演技指導も受けていたことを認めた。第2級偽証罪で有罪を認めたが、刑務所行きは逃れた。



面目を失ったスターは、これをうけてコロンビア大学での職を失い、その後ペンネームでブリタニカ百科事典の執筆・編集に携わった。2008年、彼はニューヨーカー誌の特集記事の中で、当時の番組出演をめぐる複雑な事情をことこまかに語った。

このスキャンダルを題材にし、オスカー候補にも挙がった1994年のロバート・レッドフォード監督作品『クイズ・ショウ』では、レイフ・ファインズがヴァン・ドーレンの役を演じている。

Translated by Akiko Kato

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