「モーテルを移動しながら何年間も軟禁されていた」行方不明の少年を名乗った男の正体

窃盗および器物破損で14カ月服役していたブライアン・マイケル・リニ。(Photo by BELMONT CORRECTIONAL INSTITUTION/HANDOUT/EPA-EFE/REX/Shutterstock)

米ケンタッキー州ニューポートの街を徘徊していた青年が、警察に対して自分は行方不明の少年ティモシー・ピッツェンだと名乗った時、誰もがハッピーエンドを期待した。

2011年、当時6歳だったピッツェン少年は母親に連れ去られた後、行方がわからなくなっていたのだ。しかしDNA検査の結果、この男性はピッツェンでないことが判明。ピッツェン家は今も悲しみに暮れ、真実を探し続けている。

5日の朝、ピッツェンを名乗っていた男性が実は23歳の元犯罪者ブライアン・マイケル・リニであることが報じられた。男は窃盗と器物破損の罪で禁固18カ月の有罪判決を受け、オハイオ州の刑務所に14カ月服役していた。

リニは新居の購入希望者を装って改装されたモデルルームに侵入し、そこでパーティを開いて数千ドル相当の損害を起こし、起訴された。リニの動機や、リニがピッツェンの事件を知った経緯については明らかにされていないが、今回の出来事に、警察当局およびピツェン家の人々は心を痛めている。

当時6歳だったピッツェン少年の失踪が最初に伝えられたのは2011年5月。学校で母親のエイミー・フライ-ピッツェンに迎えられた後、行方が分からなくなったと家族が通報した。最後に目撃されたのはイリノイ州の公園で、母親と一緒にいた姿が確認されている。行方不明から数日後、フライ-ピッツェンはモーテルの部屋で自殺。遺体のそばで見つかった遺書には、ティモシーは愛する人々と一緒に安全な場所にいると書かれ、彼を探さないでほしい、と警察に呼びかけていた。

その後、何年もピッツェンの目撃情報が寄せられたが、消息については手がかりがなかった。それが先週、ピッツェンを名乗る青年が街を徘徊しているとの知らせが入った。青年は警察に対し、2人のボディビルダー風の男性にあちこちモーテルを移動しながら何年間も軟禁されていたと語った。彼はレッド・ルーフ・インから逃走し、橋を渡ってケンタッキーの町ニューポートへ逃げてきたと主張。ボロボロの姿で発見された彼は住民らに、家に帰りたいと告げた。

行方不明の子どもを装う事件は珍しくない。2012年のドキュメンタリー映画『The Imposter(原題)』は、フランス系アルジェリア人の男性フレデリック・ボーディンが1990年代に行方不明になったテキサスの少年ニコラス・バークレイになりすました事件を扱っている。ボーディンは5カ月間バークレイ一家と過ごしたが、瞳の色が違っていたうえに海外なまりがあったにも関わらず、まんまと自分がニコラスだと信じ込ませた。

ニューヨーク長老派教会病院の精神医学研修臨床助教授、ゲイル・サルツ博士は直接リニを診察したわけではないが、CNNに対し、犯人が行方不明の子どもを名乗る理由についてこう語った。「若い成人は、喪失感を覚える場合があります。おそらく、自分は孤立無援で何もないと感じているのでしょう。それで、自分は必要とされているんだ、どこかに自分を探している人がいて、いつか自分を救出し、家族の一員として大事にしてくれるだろう、という幻想を抱くのです」と博士。

だが、リニの偽証はピッツェン一家に痛ましい傷を残した。「あの日の出来事をもう一度繰り返すようなものです」と、ティモシーの叔母カラ・ジェイコブスはニューヨーク・タイムス紙に語った。「ティモシーの父親はまたも打ちのめされるはめになってしまいました」

Translated by Akiko Kato

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