ローリングストーン誌選、最新ストリーミング必聴アルバム

Max Hirschberger, Elliot Lee Hazel, Autumn de Wilde

ソランジュの望郷アルバム、Ex-Hexのガレージロック祭り、Danger Mouseとカレン・Oのぶっ飛びコラボレーションなど、ローリングストーン誌がおすすめする、先月リリースされた最新必聴アルバムを紹介。

1. ソランジュ『ホウェン・アイ・ゲット・ホーム』
ソランジュは、昔の思い出をお守りのように肌身離さず持ち歩いている。それがあることで、彼女、そして私たちも前に進むためには地に足をつけることがどんなに大事か、確かめている。『ホウェン・アイ・ゲット・ホーム』で彼女は、生まれ故郷ヒューストンの過去と未来が並んだ、心休まる思い出たっぷりのアルバムを作り上げ、自らのルーツに敬意を表した。全19曲、トータルで40分という一風変わった形式で、彼女は短いながらも力強いメッセージを伝えている。曲の半分以上が3分未満。それぞれがソランジュのキャンヴァスの上で、まるで水彩画のように溶け合っている。さらに面白いのは、このアルバムはパンク並みの短さであるにも関わらず、決して急ぎ足ではないということだ。事実、黒蜜のようにゆったり流れ、テンポアップするときでもBPMはほんのわずか上がる程度だ。どの瞬間も、どのビートも、あらゆるサンプル、あらゆる音色がすべて丁寧に構築され、整然と並べられている。ソランジュにとって、これが彼女の創造力の基本形なのだ。――Brittany Spanos



2. ジェニー・ルイス『On the Line』

南カリフォルニアの子役スターはライロ・カイリーというバンドと組んで、2000年代を代表するシンガーソングライターとしてデビュー。一時期オマハのインディーズシーンに手を染めたこともあったが、最終的にはスタート地点に戻ってきた。いかにもロサンゼルスらしい堂々とした歌いっぷりは、4枚目のソロアルバム『On the Line』でも健在。70~80年代の正統派ロックの響きと21世紀のサイケデリックなひねりがあちこちに散りばめられ、なんとも荘厳なサウンドだ。楽曲もあっぱれ。特定の年齢に達した女性ならではの、輝かしい過去を経験した視点で書かれている――彼女も成長したものだ――そこからがらり一転、開眼して禅めいた語りへと移り、詩的な表現が次々現れる。その中のひとつは、「真っ赤なポルシェのコンヴァーチブルをレンタルして/ダルースから来たいつも眠そうな詩人と」北へ向かって旅に出る、というもの(「Heads Gonna Roll」)。実存主義的な空想を掻き立てくれるではないか。――Will Hermes



3. Stella Donnelly『Beware of the Dogs』

Donnellyの語るようなやさしい歌声と辛辣なジョークは、Jonathan Richmanやベル・アンド・セバスチャンに始まり、コートニー・バーネットやFree Cake For Every Creatureにいたる、インディーロックの真の語り部の誇り高き血統を思い起こさせる。音楽的には、The SoftiesのようなK Recordsアーティストの鬼気迫る魅力と、Ivyのようなカクテルアワーの甘美さを備えている。だが『Beware of the Dogs』は、それ自体が完成されたアルバムだ。ボヘミアンな20代に彼女自身が経験した痛みや喜び、不安を次々と並べているが、どれも100点満点。――Jon Dolan



Translated by Akiko Kato

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