ニルヴァーナの熱狂的な91年の「アニュウリズム」演奏を回想

25年前の4月5日にこの世を去ったカート・コバーン

25年前の4月5日にこの世を去ったカート・コバーン。『ネヴァーマインド』B面の曲「アニュウリズム」を、地元の観客の前で熱狂的に演奏する映像を振り返る。

1991年10月31日午前、カート・コバーンの元にいい知らせが舞い込んだ。彼のバンド、ニルヴァーナのニューアルバム『ネヴァーランド』が、ゴールドディスクを獲得。リリースからたった1か月ほどで、すでに50万枚のセールスを記録したのだ。アルバムのプロモーションツアーの最中だったニルヴァーナは、シアトルのパラマウント・シアターでハロウィンを迎えることになっていた――成功を収めたロックバンドとしての、初めての帰郷だ。

会場には家族や友人も詰めかけ、撮影クルーがステージを録画する。バンドはジョークを交えながら、19曲のステージを演奏した。「カメラの数がセブンイレブンよりも多いな」と、クリス・ノヴォセリックが冗談を飛ばす。「仮想してる人は、会場の2%ぐらいじゃないか」とデイヴ・グロールが会場を見渡して言う。「なんだ、つまんねぇな。それともパンクロッカーの仮装してきたのかな?」

バンドは、のちにニルヴァーナが『MTVアンプラグド』で演奏して有名になるVaselineの曲「ジーザス・ダズント・ウォント・ミー・フォー・ア・サンビーム」で幕を開け、そのまま勢いにのって「アニュウリズム」へ。リフをたっぷりきかせたイントロが鳴り響く中、コバーンがグロールのドラムの前にひざまずき、やがてノヴォセックのベースが奏でる穏やかなパートへと移っていく。「おいで、ツイストしてごらん/もっとやるんだ/気絶するまで」

「スメルズ・ライク・ティーン・スピリット」のB面だった「アニュウリズム」は、コバーンの初恋についての歌。とある女性に熱を上げたコバーンは、あまりの舞い上がりぶりに嘔吐したという。人体解剖や疾病、薬物にハマっていたコバーンは、自らの執着心から激しいラブソングを紡ぎ出した。「君があまりにも好きで病気になっちまう」「彼女が俺の心臓に注入し続けるんだ」といった歌詞が盛り込まれている。

皮肉にも、「アニュウリズム」の題材になった人物は会場にいた。コバーンはオープニングアクトとして、ミュージシャンのトビ・ヴァイル率いるライオットガール・バンドBikini Killを起用していた。1990年代初期、2人は恋人同士――彼女が愛用していた制汗剤のブランド、ティーン・スピリットから、ニルヴァーナ最大のヒット曲が生まれた。

コバーンは25年前の今週、惜しくもこの世を去った。コンサートの映像は『ライヴ・アット・パラマウント』として2011年にすでにリリースされているが、4月12日には改めてアナログ盤としてリリースされる。

Translated by Akiko Kato

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