「ラスト・タイム」を歌う、1965年のローリング・ストーンズを回想

(Photo by Jay Dickman/CORBIS/Corbis via Getty Images)

ローリング・ストーンズの2019年サマーツアーの新たな日程を待っている間、1965年当時の若い頃の演奏を見て楽しんでみては?

ローリング・ストーンズは、ミック・ジャガーの心臓手術を行うために今年の夏のツアーを延期することを先日発表した。これを受けて出されたジャガーのコメントは「ツアーの延期には打ちのめされているけど、できるだけ早くステージに復帰できるように一生懸命がんばるよ」だった。

本来であれば、4月20日にフロリダ州マイアミのハード・ロック・スタジアムでツアーが始まり、6月29日のカナダのオンタリオ州オロメドンテのバールズ・クリーク・イヴェント・グラウンズで幕を閉じる予定だった。すでにチケットを購入したファンは、手持ちのチケットが新たな日程でも使えるということで、チケットの保管を奨励されているが、現時点では新たな日程が組まれるのか確証が持てないのも確かだ。理論的に考えると、ジャガーの手術が成功した場合、真夏か夏の終わりにはジャガーの体調が回復してツアーに戻ることになる。しかし、フットボール・スタジアムの多くは8月上旬からエキシビションマッチを開催し、9月に入ってフットボールのレギュラーシーズンが始まると、コンサートのためにスタジアムを押さえるのは困難を極めるはずだ。ただし昨年10月上旬にテイラー・スウィフトがスタジアム・ツアーを行ったことを考えると、ローリング・ストーンズが夏以降にツアーを行うことはかなりの確率で可能ではあるが、彼らが2020年の夏までこのツアーを延期する可能性もゼロとは言えない。

そんな心配を忘れるために、ここで1965年の秋の彼らの演奏を見てみよう。当時のストーンズはまだ劇場クラスの会場でコンサートを行っていた。この動画が撮影された時点で、彼らは3年間ずっとライブ活動を続けていたが、この年の初めにリリースしたシングル曲「サティスファクション」によって、突然、彼らの知名度が飛躍的に上がったのである。そして、プロの撮影クルーがドキュメンタリー『チャーリー・イズ・マイ・ダーリン』の撮影のために、彼らのアイルランド・ツアーに同行した。ところが、このドキュメンタリーが合法的に発売されたのは2012年のことだった。この動画で演奏される「ラスト・タイム」の激しさを鑑みると、このドキュメンタリーに残された映像は間違いなく最高のものと言える。

当時、アイルランドで彼らのライブを実際に見ていた観客の中に、このバンドが30歳を過ぎても続くと想像した人はほとんどいなかったはずだ。当時の彼らにしてみれば、それから54年後もローリング・ストーンズが消えていないことも、彼らの愛しいチャーリーがもうすぐ78歳になることも、ほとんど空想科学小説のレベルだろう。しかし、ローリング・ストーンズが長年証明し続けてきたことは、このバンドを止められるものは何一つないという事実だ。ミックの心臓手術だって大したことではなく、2〜3ヶ月後には無事にステージに復帰して、再び大きな声で「ラスト・タイム」をカッコよく歌っているはずだ。




Translated by Miki Nakayama

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE