多彩なヒット曲が楽しめるリンゴのライブの魅力「僕には多くの音楽仲間がいる」

27日、福岡サンパレス ホテル&ホールのステージに立つリンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンド。(Photo by Noriihiko Tanaka)

リンゴ・スターが豪華ミュージシャンを率いたスーパー・バンド、リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドによる、およそ3年ぶりの来日公演が3月27日、福岡サンパレス ホテル&ホールを皮切りにスタートした。この日の公演を含め、ツアーは広島や仙台、福島など全国7都市9公演で行われる予定だ。

Rolling Stone Japanでは、来日前の彼に「意気込み」についてなどの電話インタビューを行っているが、幸運にも初日の開演直前、直接会って再びコメントをもらうことに成功した。ほんの数分という短い時間だったが、日本での過ごし方や、現在レコーディング中の新作のこと、そして今年公開予定のビートルズの映画についてなど、ざっくばらんに話してくれた。

今回は、その時の発言を紹介しながら、リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドのライブの模様をお届けしたい。

そもそも「リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンド」とは何か。これは、今からちょうど30年前に結成された文字通り「オール・スター・バンド」である。第1期はビリー・プレストンやリヴォン・ヘルム(ザ・バンド)、ドクター・ジョンといったメンバーが集結。その後、ツアーが行われるたびに顔ぶれが変化していく。これまでに参加したミュージシャンは、トッド・ラングレンやジョン・エントウィッスル(ザ・フー)、ジャック・ブルース、シーラE、エリック・カルメン……などなど、今や鬼籍に入った者も含めてそうそうたるメンツ。時にはリンゴの息子、ザック・スターキー(オアシス、ザ・フー)が加わったこともあった。

リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドの見どころは、参加したミュージシャンのレパートリーもセットリストに組み入れるところにある。そのため、私たちはビートルズ時代〜ソロ時代のリンゴの曲はもちろん、往年の名曲を本人の演奏(および歌)で堪能することが出来るのだ。

今回のツアーには、スティーブ・ルカサー(TOTO)やグレッグ・ローリー(サンタナ、ジャーニー)といった、ここ最近のお馴染みメンバーに加え、コリン・ヘイ(メン・アット・ワーク)とヘイミッシュ・スチュワート(アヴェレージ・ホワイト・バンド)の2人が10年ぶりに復帰。実は、日本ではこのラインナップでの来日は今回初めてということもあり、TOTOやサンタナの楽曲に加え、メン・アット・ワークの「Who Can It Be Now」(邦題「ノックは夜中に」)や、アヴェレージ・ホワイト・バンドの「Pick Up the Pieces」といった楽曲も聴けるのではないか、否、聴けるのは「必至」ということで、この日の会場である福岡サンパレス ホテル&ホールには、リアルタイム世代である年配はもちろん、その子どもの代、さらには孫の代まで男女問わず幅広いオーディエンスが集まっていた。

「日本に来ると、いつもショッピングを楽しんでいるよ(笑)。中でもジーンズを買うことが多いかな。福岡だと、いつも滞在してるホテルの近くに大きなショッピング・モールがあって、そこへ行くのを楽しみにしてる。今、着てるこのジャージもそこで買ったんだ」
(リンゴ:以下、括弧内の発言は全てリンゴによる当日のコメント)

こちらの予想通り、ライブはのっけから名曲の大盤振る舞い。ステージ袖から颯爽と現れたリンゴが、オール・スター・バンドをバックに「Matchbox」や「It Don’t Come Easy」「What Goes On」など自分の曲を立て続けに3曲披露したあと、メンバーたちの持ち曲タイムへと移る。

ユニークなのは、例えばサンタナの「Ewil Way」を歌い終えたグレッグが、次に「Rosanna」を歌うスティーヴのことをMCで紹介するという「リレー方式」になっていること。お互いのことをユーモアたっぷりに話すこの日の様子からも、バンドは今、非常にいい状態にあることが伺える。

「日本での演奏はいつだって楽しいよ。家で1人でドラムを叩いてたって退屈なだけだしさ。素晴らしいミュージシャンとリハーサルしたり、ステージに立ったりすることが何よりも好きなんだ」

最初から最後まで「知っている曲だらけ」という贅沢なセットリストだったが、とりわけ盛り上がったのは、やはりどうしたってビートルズの楽曲だ。「Yellow Submaline」では、黄色く光るサイリウムを持ったオーディエンスがウェーブを作り、「Boys」ではサビの掛け合いコーラス“バッシュワ、バ、バ、 シュワ”を全員でシンガロング。

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