『ブラック・クランズマン』映画評:スパイク・リーの抱腹絶倒な最高傑作

いいところを見せたいロンはKKKの採用広告に目をつけ、得意の「白人声」で電話をかける。面接試験を受けるにあたり、ユダヤ人警官のフリップ・ジマーマン(アダム・ドライバー)が相棒として加わる。2人のチームワークがこの映画のキモだ――両者とも特大ホームランをかましてくれた。デンゼルの息子ジョン・デヴィッド・ワシントンが、KKK帝国の最高幹部インペリアル・ウィザードを名乗るデービッド・デューク(陳腐な悪役を具現化したあっぱれトファー・グレース)と電話でやり取りするシーンは痛快だ。ロンがデュークにさんざんゴマをするのを、他の警官連中が立ち聞きして大笑いする。ワシントンは無言で慌てながらも、白人の孤独の苦悩をつらつらと語る。ドライバーに関して言えば、称賛してもしきれない。おとり警官として、フェリックス(ジェスパー・ペーコネン)などクランズマンの中に潜入するフリップ。憎悪にかられるメンバーがホロコーストを否定すると、フリップはうっかり異議を唱えてしまう。「なぜ否定するんだい? あれは最高の出来事だったじゃないか」ととっさに嘘をつき、すらすら出まかせを言いながら、内心は穏やかではない。偽装という危険なゲームに身を任せた男を演じる彼のパフォーマンスは圧巻だ。

Translated by Akiko Kato

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