アルゴリズムがアーティストに? ITスタートアップによるAIがワーナーと契約

今年初旬に公表されたプレスリリースの中で、ワーナーのアート・ミュージック部門を統括するケヴィン・ゴア部長は、Techstars MusicでEndel社を初めて知った時から、ぜひワーナーに迎えたいと考えたと述べている。「彼らの画期的な作品は、他にはない音楽体験を提供してくれます。アート・ミュージック部門のマーケティング・ノウハウと、流通リソースを余すところなく活用すれば、より広いオーディエンスに届けられるでしょう」

アルゴリズムが「アーティスト」として扱うことで、ワーナーとEdel社の開発チーム双方が慣れない問題を抱えることになった。「先方からの質問に答えるのに、著作権専門の弁護士を雇わなくてはなりませんでした。『メカニカルロイヤリティの受取人は誰か』とか、『著作権として誰の名前をクレジットするか』とかね」とストラヴィツキー氏は振り返る。「我々はデザイナーとサウンドエンジニアの集団ですから、そんな専門用語はちんぷんかんぷんでしたよ! 結局、作曲家にはソフトウェアのエンジニア全員の名前をクレジットすることにしました」


Endel社のアプリのスクリーンショット(Endel)

AIのテクノロジーがますます高度化する中――この数年間、IBMからソニーにいたるまで、あらゆる企業がアルゴリズムをもとにした作曲や音楽制作プロジェクトを打ち出している――音楽業界におけるAIの存在も注目の的となりつつあるが、一方で心配の種でもある。だがスタヴィツキー氏は、自分たちがミュージシャンの仕事を横取りすることはないと力説する。「僕たちはアーティストと張り合うつもりはありませんし、ましてや取って代わろうとも思っていません」と本人。「ワーナーが僕らの仕事をアルバムとしてリリースしたいと思ってくれたのは光栄です。でも、僕らのサウンドはたいてい、意識して聞くように作られたものではありません。環境に溶け込むことで、生活の役に立つのが目的なのです」

Translated by Akiko Kato

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