ラブリーサマーちゃん自宅取材、10枚のアルバムから辿る彼女の音楽愛

ラブリーサマーちゃん、自宅の宅録スペースで撮影。(Photo by Takanori Kuroda)


3. the brilliant green『TERRA2001』(1999年)

ラブサマ:ブリグリも私の「オールタイム・ベスト」なので、選盤は迷いましたね。1stアルバム『the brilliant green』も名曲ぞろいで捨てがたいんですけど、初めて聴いたアルバムが『TERRA2001』だったので、その思い出補正も含めて選びました。

─ラブサマちゃんは歌声ももちろん魅力の一つで、おそらく川瀬智子さんからの影響もあると思うんですが。

ラブサマ:「自分が気にいる音楽をやりたい」と常々思っているので、たとえばCymbalsみたいな曲が出たら、土岐麻子さんの声に「コスプレ」して歌ったり、ブリグリのような曲ができれば川瀬さんの声に「コスプレ」して歌ったりしていましたね、初期の頃は。特に川瀬さんの歌声には憧れていて、「あんなふうに歌えたら……」と思って中学生くらいからメチャクチャ練習してました。ですが、最近初期の音源を聴き返してみると、コスプレ系の声はなんか不自然で気持ち悪いなと(笑)。最近はもう「誰々に似せよう」などとは思わず、「自分の声は、こういう風に発せられた時に、一番気持ちよく出るよな」という角度から見て、歌い方を決めるようにしていますね。


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─そういえば以前、「自分の新曲を聴いて、頭の中の架空リスナーが爆泣きしてくれている」ってツイートしていたじゃないですか。その「架空リスナー」が喜ぶ楽曲を書きたいっていう思いは大きい?

ラブサマ:そうです。喜ばせてあげたいですね。

─TWEEDEESの沖井礼二さんも、「自分の楽曲の一番のファンは自分で、そいつを喜ばすために曲を作っている」っておっしゃっていました。

ラブサマ:最高です。次に選んだオウズリーもそう言ってましたよ。

4. Owsley『Owsley』(1999年)

─では、そのオウズリーの魅力を。

ラブサマ:確か大学1年のころ、スカートの12インチがアナログ限定で出たんです(2014年の『シリウス』)。その時にレコードプレーヤーを初めて買ったんですけど、「せっかくだから、他にもレコード聴きたい」「“レコード屋でレコードを買う”という楽しみを味わってみるか」と思い、ココナッツディスクで何枚か買った中にまずワナダイズがあって。それがすごく良かったので、関連を掘っている時に「グッドメロディ特集」みたいなネット記事でオウズリーを見つけたんです。

「音楽って何が一番大切なんだろう?」「何を一番大切にしたらよかったんだっけ?」「そもそも、いい音楽ってなんだっけ?」などと考え込んで、迷走してしまうときがあるんですけど、そういう時にオウズリーを聴けば一発解決というか。こんなTシャツを着て(この日はティーンエイジ・ファンクラブ)、「いいメロディが」とか言ってるのそれっぽすぎて恥ずかしいんですけど(笑)、ワナダイズとかティーンエイジとかオウズリーとかを、酔っ払った帰り道とかにいつも一人で聴くんです。そういう時に聴く音楽って、メチャメチャ大事じゃないですか。もうね、いいメロディといい歌詞というのがやっぱ一番大事だわ、私の帰ってくる場所はここだわって。オウズリーを聴くとそういう気持ちになるんですよね。それを思い出させてくれる1枚です。


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─ただ、残念なことに彼は2010年に自殺してしまったんですよね。

ラブサマ:私、オウズリーの人柄も大好きなんですよ。日本盤ライナーノーツに掲載されたインタビューを読んだり、90年代に渋谷クアトロでやった時のインタビュー映像を見たりするうちに気づいたんですけど、私と考え方が一緒なんだなって。だから、このジャケを見ながら曲を聴いてるとメチャメチャ泣いちゃうんです。

オウズリーって、いわゆるシンガー・ソングライターじゃないですか。でも本当はバンドがやりたかったんですよね。このアルバムは、お金をコツコツと貯めて家の中にスタジオを作り、サポート・メンバーに助けてもらいながら自分でバリバリ演奏していて。それでジャケットを見ると、1人部屋の中で「バンドごっこ」をしてるという。こっちを向かずに、背中を見せてジャンプしてますよね? この内向的な感じと、1人ではしゃいでる感じ、でも最終的に自殺しちゃって……もうなんか全てが愛おしすぎてどうしよう。とにかくこの人、頑張ったんだなあ。すみません、オタクしゃべりしちゃって。


Photo by Takanori Kuroda

─これほど素晴らしいオウズリーのレコメンド、お目にかかった事がないですよ。

ラブサマ:しかも彼は、歌詞を1年もかけて書くんですよ。作品に対してあまりにも真摯じゃないですか? 私はもう、「Coming Up Roses」みたいな曲が書けたら音楽やめてもいいですね。“みんながウトウトしている間に、君のバラは咲いている”でサビが終わるとか、すごく詩的。脚韻の踏み方も全曲素晴らしいし。私は今まで、韻を踏むという事を意識せずに曲を作ってきたんですけど、最近はやっぱり歌詞というのは言葉の意味だけじゃなくて、音としての要素がすごく強いんだなって思うようになって。自分が想像していた以上に、音としての要素が人に与える影響ってヤバイらしいということに気づいたんです。

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