ルエルが語る音楽遍歴と作曲のこだわり、「普通の16歳」でいるための方法

─最近はジャスティン・ビーバーやケイティ・ペリー、アリアナ・グランデなどチームによる「コーライティング(共作)」が普通になってきていますよね。あなたもコーライティングの方が1人の作業よりも好きですか?

ルエル:そうだね。基本的に、自分よりも10歳や20歳上の人とのコラボレーションが多いのだけど、僕の考えるコンセプトやアイデア、メロディやコードの断片といったマテリアルを、彼らと同じ世代のオーディエンスが共感しうるクオリティにまで引き上げてくれるんだよね。結果的に、幅広い年齢層の人と曲を通じて響き合う事ができる。それも「コーライティング」の魅力といえるだろうね。

─そういった、曲作りの取っかかりとなるマテリアルはどんな時に浮かんでくるものですか?

ルエル:インスピレーションというのは、いつでも突然湧いてくるものなんだ。例えば昨日は時差ボケで眠れず、早朝3時から作業を始めて1曲作り上げてしまった(笑)。マニラに滞在していた時も、朝の4時から1曲作ったな。大抵はiPhoneのボイスメモに吹き込んでおいて、あとからコンピューターでエディットしている。本来ならパソコンも持ち歩いて、いつでもどこでもCubaseやGarageBandなんかを立ち上げられた方がいいんだろうけど。あと、練習用のギターは常にあるので、基本的に何かアイデアが浮かんだ時には、ギターの弾き語りのような感じで吹き込んでおくんだ。


Photo by Kayoko Yamamoto

─以前のインタビューで、「曲作りは一種のセラピー」と言っていたのも印象的でした。

ルエル:そう、まさしくセラピーだよ。何故なら作る曲のテーマやコンセプトって、大抵はその時に僕自身が直面している問題だったり、大きな関心ごとについてだったりするものなんだ。で、そういう問題って頭の中ではなかなか整理がつきにくいものなのだけど、文字に起こしてみたり、歌詞の中に落とし込んでみたり、コラボ相手と一緒に話し合ってみたりする中で、問題がどんどん整理されていくのが分かるんだ。それで僕は「セラピー」という言葉を使ったのだと思う。

─そういう意味で、自分自身を「発見」し直すきっかけになったのはどの曲?

ルエル:2018年にリリースしたEP『Ready』の中の、「Say」という曲かな。友人のアレックス・ホープと書いたのだけど、「どうしても相手に伝えなければならないけど、それをすることで相手を失ってしまうかも知れない、それで話を切り出せずにいる状況について書いたんだ。実際、自分がそういう思いを経験したからね。で、曲を書き終わった瞬間から「これはやはり、本当に相手に伝えなければ」という確信に変わったし、相手に伝える「自信」も湧いてきたよ。



─あなたにとって曲作りは、自分を成長させるためのプロセスであると同時に、リスナーへの成長をも促す内容でもある気がします。

ルエル:確かに、曲作りを通じて問題解決をし、自分自身は「大人になれた」という実感はある。そして、僕の曲や歌詞が誰かの共感を呼び、その人の問題をも解決できる力になっていたらいいなと純粋に思うよ。だからこそ、僕の楽曲を聞いてくれた様々な人から「すごく辛くて大変だった時期に、君の曲が心の支えになった」と言われると、すごく嬉しい気持ちになる。

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE