THE NOVEMBERSが語る進化の背景「影響源はミック・カーン、KOHH、NIN、エンヤ」

―では、ここからはメンバーぞれぞれのインスピレーション源になったアーティストの名前を挙げていただきつつ、より具体的にアルバムの中身について聞いていければと思います。まずは高松さん、いかがでしょうか?

高松:ジャパンと初期のL’Arc~en~Cielはちょっと前からずっと聴いてたので、今回反映されてるかなって。音楽理論的に「ここがこう」っていうよりは、あの雰囲気、曲調、音像とか、感覚的なものですね。

―確かに、今回のアルバムではミック・カーンみたいなベースも出てきますね。

高松:お、ミック・カーンは結構ワードとして出てました。

小林:ミック・カーンのフレーズって、モーダルかコーダルかっていうとモーダルで、いろいろ話を聞いてみると、ミック・カーンはコードわからないらしくて。ボーカルのメロディーに対して、自分は曲を彩るんだっていう、感覚的な発想みたいなんです。高松くんも感覚的な人で、メロディーセンスがいいので、高松くんのフレーズを基に作ったのが「plastic」。「あのフレーズを一生聴いてられればいい」くらいの(笑)。



―高松さんはミック・カーンのどこがお好きですか?

高松:まずルックスが好きです。

小林:そう、正しい!

―(笑)。「plastic」のフレーズに関しては、どのように生まれたものなのでしょうか?

高松:「ミック・カーンってどういう特徴があるんだろう?」って思ったんですけど、考えて組み立てるより、夜に酔っ払ってペロペロって弾いてみたら、それがすごくよかったんです。それをそのままiPhoneで録って、送りつけました。

小林:メロディーって、コードやスケールを指定すればするほどつまらなくなってしまうんですよ。ミック・カーンについてスタジオの中で雑談してたときに、言い得てるなって思ったのが、「たまたまメロディーがあるリズム楽器」なんですよね。フレットレスベースだから、ドレミの区分も曖昧なので、たまたま持ってるメロディーで十分。ミック・カーンはドレミじゃなくて、リズムで遊んでるじゃん?

高松:休符が多いとかね。

小林:ジャパンって、シンセもいるから、ベースが存在しなくても、きちんとコードが存在していて、ミック・カーンは「ついでにメロディーで関わってる」くらいの感じなんだけど、でもそれが重要なんですよ。「plastic」は前半のメロディーを高松くんが作ってたり、ベースのフレーズは一緒なんですけど、転調してたり、いろいろチャレンジもしてるので、そういうのも面白かったですね。



―ケンゴさんは、どんなのを聴いてましたか?

ケンゴ:僕はそんなに深く掘る感じではないんですけど、KOHHは好きですね。あと話題になってたから、マリリン・マンソンの『メカニカル・アニマルズ』を高校生ぶりに聴きました(笑)。

―ケンゴさんはRolling Stone Japanの「2018年の年間ベスト」でもキッズ・シー・ゴースツやXXXテンタシオンを挙げられていましたし、最近はヒップホップをよく聴いているわけですか?

ケンゴ:目新しいことをやってるのはそういう人たちですよね。あとホントの不良が好きなんですけど、ホントの不良は最近ヒップホップばっかりなんで、そういう人たちを見るのは楽しいなって。

―トラップ以降のビート感もアルバムの一要素になっていますが、そこのインスピレーション源にもなっている?

小林:トラップってあんまり目新しく感じてなくて、僕にとっては普通にインダストリアルなんです。インダストリアルの楽器を、ラップの人たちがきちんと使い始めただけ。それをトレンドとして語るのは、僕からすると周回遅れくらいに古い。だから、「このサウンドが新しい」って言われても、「うーん」って思うけど、「このハイハット、もともと俺が好きなやつだ」っていう感じなので、「トラップ」っていう認識ではないんですよね。

―「インダストリアル」っていう意味では、マリリン・マンソンとも繋がってますね(笑)。

ケンゴ:KOHHとかも、カート・コバーンみたいな恰好をして、マリリン・マンソンみたいなギターリフの中で、ロックスターしてるみたいな感じが好みなんです。




―ギターの音作りに関してはいかがですか? 小林くんからも「サウンドメイクを起点にした」という話がありましたし、実際今回の作品はエンジニアの岩田純也さんとの共同作業もより密になって、音像も非常に広がりのあるものになった印象です。

ケンゴ:今回はもともと祐介が作ってきたネタを、いかにギターに置き換えるかっていうのが多かったですね。シンセとかノイジーなテクスチャーをいかにギターで表現するかっていう、そういう仕事が多かったです。

小林:すごく感心したのが「ANGELS」で、あの曲のケンゴくんは6分間ずっと即興で、ファーストテイクをほぼほぼ使ってるんです。まあ、破れかぶれではあったんですけど(笑)。「今ちゃんとコードを知った」くらいで、とりあえず雰囲気でってやったのがあのテイク。ほとんどさじを投げたような感じですけど、でもだからこそサウンドメイクもプレイも純粋なものが出て、それがすごくよかったんですよね。

ケンゴ:2テイク目はクソでしたけどね(笑)。

小林:慣れてきちゃったからね。もともとスペースメン3みたいなドローンをずっと入れようと思ってたんですけど、その欲が一瞬で断ち切れました。あり方として、ケンゴくんの方がよっぽどノイズだわって。まあ、もう再現はできないんですけど。


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