凄惨な殺人事現場専門の不動産鑑定者が語る、難あり物件のあれこれ

Steve Granitz/WireImage


ーサンフランシスコやニューヨークなど土地の価値が高い大都市でも、起こり得るのでしょうか?

良い指摘だ。農村部と郊外と都市部ではそれぞれマーケットが異なる。ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルスでは、犯罪現場となった物件がとても多く、いちいち取り壊さずにそのまま利用されている。一方で、取り壊すケースもある。私の扱ったシャロン・テートの物件は取り壊されたが、今なお観光客が建物のあった場所を訪れている。つまり取り壊すことで全てが完了、という訳ではない。ヘヴンズ・ゲートの邸宅は、フェンス、私道、木々を含め完全に壊してさら地にし、その上に新たな建物が建設された。しかし今も人々はその建物を指差し、「あれがヘヴンズ・ゲートの邸宅だ」と言う。O・Jの家も取り壊されたが、私が訪れた時にはテニスコートがあり、ゲストハウスは放置されていた。だから私は、通常は取り壊しに反対の立場を取っている。いわくは拭い去れないものだから。

ーこの仕事にかかわって、人間のあり方について何を学んだと思いますか?

多くを学んだと思う。1980年代に数字を扱う仕事からキャリアをスタートした私は、リサーチや計算に強くなった。しかし同時に、統計の裏側にいる人々について知るようになったが、それは私にとって人生を左右するような経験だった。率直に言って、統計の裏側にいる人々の方がとても興味深いのだ。

ーもう少し詳しく教えてください。

私は、米国政府が爆破実験を行っていたビキニ環礁の核実験場を扱ったが、クライアントたちに200万ドル(約2億2000万円)を勝ち取った。クライアントはそれで自分たちのコミュニティを再建できた。とても満足の行く結果だ。釈迦の教えは半分正しいと思う。釈迦は「人生は“苦”である」と言った。私は、人生は喜びと苦難の両方で成り立っていると考える。我々は、その両方を受け入れる方法を学ぶ必要がある。結果として人生の質が損なわれてしまうからだ。

ー「自分は気味の悪い人間ではない」と言っていました。けれどもあなたと話していると…つまり、かなり多くの恐ろしい犯罪の副産物を見ている人にとって、あなたはとても明るく感じられます。この仕事に携わった結果、自分自身を見つめ直したと思いますか?

どういう訳か私は、ドラマチックな出来事に対するしきい値が高い。実際にそうだ。私はサン・クエンティン刑務所やオレンジ郡刑務所の囚人らの関係する仕事に取り組んでいる。理由ははっきりしないが、私は高いレベルの心的外傷にも対処できる。とはいえ、私は気味の悪いものを求めているのではない。私は自分のキャリア全体を通じて、本当に大変な状況にある人々を助けている。恐怖や大きなショックを感じたり、生活が破綻してしまった人々に対し、私は介入できる。私はそのような状況に慣れているので、少なくともある程度は彼らの助けとなる的確なアドバイスや適切な情報を与えられる。そして何らかの方法で彼らの生活を少しでも向上させ、彼らのストレスを減らしてあげることができる。私は殺人や自殺を何となく眺めているのではない。本当に悲惨な目に遭った人々の助けとなりたい。酷い自動車事故現場で人々を助ける消防隊員のようなものだ。私はいつでも人々を支援する用意ができている。傍観やのぞき見をしているのではない。

Translated by Smokva Tokyo

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