Reiが語るストーンズの魅力「破天荒だけどリスナーに寄り添うことも忘れないエンターテインメント精神」

─では、ストーンズのオリジナル・アルバムでお気に入りを3枚挙げるとしたら?

えー3枚か、難しいなあ……。一番好きなのは『Their Satanic Majesties Request』です。サイケデリックな部分と実験的な部分が両方あって、例えば「In Another Land」では、声に不思議なエフェクトを施したり、ハープシコードのような楽器を弾いていたり、音色も幅広くストーリー性もしっかりあって、聴いていて楽しいんですよね。世界観に浸りたい時はよく聴いています。

あとはやっぱり1stアルバムですかね。デビュー作の冒頭を飾る曲がカバーっていうのも驚きですし、この「Route 66」を聴いて、ブライアン・セッツァーをはじめ色んなアーティストのカバー・ヴァージョンを聴きたくなったので。

もう1枚は……ベタだけど『Beggars Banquet』かな。楽曲のバランスもいいし、衝動と計算の両方があって。シングル級のポップソングも入っているし、音作りにも彼らのこだわりが感じられるので。『Let It Bleed』も好きですけどね。



─楽曲で好きなのは?

先ずはその「Route 66」を“思い出の1曲”として入れたいです。「She’s A Rainbow」もメチャメチャ好きだし、「Angie」も入るでしょう。それから「Brown Sugar」や「Love In Vain」もいいですね。

「Love In Vain」はオリジナルとは全く違うイントロが付いていて、これだけで1曲オリジナルが作れるじゃん!って思いますね(笑)。最初はアコギで始まって、途中でスライドが入ってきて、最後にもう1本アコギが重なるのかな。これだけギターが重なっているのに、ちゃんと棲み分けがなされていて。しかも歌を邪魔していないんですよ。ラフなようで、すごく計算もされているんだなって思います。


Reiが「Exhibitionism ─ザ・ローリング・ストーンズ展」のために選曲したプレイリスト

─ストーンズはアートのセンスも抜群ですよね。アンディ・ウォーホルやロバート・フランクの作品をジャケットに起用したり、ジャン=リュック・ゴダールとも映画『ワン・プラス・ワン』を製作したり。

そうですよね。『Love You Live』の色使いとか大好きです。それに、アート性が高いのにポップなところが魅力だと思います。なんていうか、音楽活動もアートへのこだわりも、全て破天荒で身勝手なようでいて、実はちゃんとリスナーにも寄り添っている部分がある気がします。そして、時代にもちゃんとチューニングを合わせているのは流石だなと思います。色褪せないんですよね。ルイス・コールの去年のアルバム『Time』を見たときも、(アートワークが)『Tattoo You』っぽいなあと思ったし(笑)。

─ああ、なるほど。面白い意見ですね。彼らのファッションついてはどう思います?

70年代にコートダジュールで撮った写真が特に印象的で。黒いタートルネックにセンタープレスのスラックス、マルーン色のラルフローレンの革ジャンをはおり、キャスケット帽を合わせたミックの着こなしもすごくカッコよいし、ヴェルサーチの白いセットアップを着てバスルームでポーズを撮っている写真は、袖に付けているエンブレムやスタッズのシューズが衝撃的に可愛くて。最近、自分の中でセットアップが流行っているので、ちょっと着崩したプレッピーのような、彼らのスタイルには刺激を受けています。

音楽のみならず、アートやファッション、楽器のセレクトからインタビューの発言に至るまで、すべてが刺激的で、そこに興味を持って掘っていくと、とても広くて深い世界が広がっている。あらゆるカルチャーの入口になっているし、そういう意味でも非常にアイコニックな存在だと思います。やはり表現者はそうであるべきですし、自分にとってもロール・モデルというか、学ぶべきところは多いです。

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