ルエル、初単独公演で見せたブルーアイド・ソウル・シンガーとしての片鱗

3月19日に渋谷WWWXで開催されたルエルの来日公演の模様(Photo by Kayoko Yamamoto)

エルトン・ジョンもその才能を認めた豪州シドニー出身の若きシンガーソングライター、ルエルが3月19日に渋谷WWWXで自身初の日本単独公演を開催。SUMMER SONIC 2018以来の来日となったこのライブの公式レポートをお届けする。

まだアルバム未発表だというのに、昨年3月のPOPSPRING 2018と8月のSUMMER SONICに続いて、早くも3度目の来日を果たしたルエル。3月19日に日本初の単独公演を敢行した。予想に違わず、会場の東京・渋谷WWWXを一杯にしたオーディエンスの9割は女性。客電が消えるなり悲鳴が上がって、キーボーディストとドラマーがイントロを演奏する中、ステージに彼が姿を見せると、悲鳴のヴォリュームがさらにアップする。

「ホワッツ・アップ・トーキョー!」という元気な声に続いて、ちょうど2年前に登場したデビュー・シングル『Golden Years』でショウがスタート。ここにきて16歳になり、ライヴの回数を重ねてきたこのオーストラリアン・ボーイは、約60分のセットで成長のあとをしっかり見せつけた。何しろ現時点で正式にリリースされている作品は、その『Golden Years』とEP『Ready』のみ。さすがにみんなどの曲も知り尽くしているから、サビだけとは言わず、終始大合唱が途切れない。そして歌っていない時は歓声を上げているオーディエンスの熱狂を、ルエルはエネルギーに転化。ステージを目一杯使い、時にはフロアに降りてきたりしながら、ソウルフルな歌声を響かせた。

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3月19日に渋谷WWWXで開催されたルエルの来日公演の模様(Photo by Kayoko Yamamoto)

ソウルと言えば、ジョン・レジェンドの『Who Did That To You』やザ・ウィークエンドの『Call Out My Name』をアコギの弾き語りで歌うなど、カバーも随所に織り込んで、自分に影響を与えたアーティストに敬意を表すことも忘れない。また新曲も着々と生まれているようで、彼はできたての3曲を披露。そのうち、映画『ハイ・フィデリティ』にインスパイアされたという『Real Thing』では繊細なファルセットを、今は亡き友人に捧げた『Unsaid』では飛び切りエモーショナルで無防備なヴォーカルを聴かせ、ニュー・シングルに予定されている『Pain Killer』では、レイドバックなファンク・ポップで大人な表情を覗かせるルエルは、まさしくブルーアイド・ソウル・シンガーだ。

これらの新曲やアンコールの『Younger』を含めて、オリジナル曲は計9曲。まだ完成までしばらく時間がかかりそうだけど、パズルのコマみたいに曲がはまり合って、待望のアルバムの形が徐々に浮かび上がってくるかのようなライヴだった。

文:新谷洋子



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3月19日に渋谷WWWXで開催されたルエルの来日公演の模様(Photo by Kayoko Yamamoto)

ルエル 初単独公演
2019年3月19日(火)渋谷WWWX

=SETLIST=
Golden Years Into Ultralight
Dazed & Confused
Not Thinkin’ Bout You
Weathered
Say
Call Me Out My Name(ウィークエンドのカバー)
Real Thing(新曲)
Unsaid(新曲)
Who Did That To You(ジョン・レジェンドのカバー)
Pain Killer(新曲)
Bell Yache
Don’ Tell Me
Younger

Rolling Stone Japan 編集部

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