ホンネが語る「2作目のジンクス」を打破した理由、BTSとの出会いとアジアの今

ホンネのジェームズ・ハッチャーとアンディ・クラッターバック(Photo by Astrid Stawiarz/Getty Images)

今年3月に来日公演を行ったロンドンの2人組、ホンネのジェームズ・ハッチャーとアンディ・クラッターバックを取材。2016年のデビュー作『Warm on a Cold Night』でたちまちブレイクしたあと、昨年リリースした2ndアルバム『Love Me / Love Me Not 』でさらなる飛躍を遂げた背景と、BTS・RMとのコラボレーション、アジアでの熱狂的な歓迎ぶりを語ってくれた。

ー今回の来日直前に、「下北沢◑昼」と「新宿◐夜」をイメージしたプレイリストを公開していましたよね。

アンディ:ぼくらはプレイリストが自分の好きな曲や聴きたい曲をキープしておくのに適した方法だと思っていて。最近みんなSpotifyで音楽を聴く時間ってすごく増えてきていると思うけど、選択肢が多すぎてなにを聴いたらいいかわからない人も多いだろうし、そもそも僕らが何者かを知らなかったりね。ここに僕らが興味を持った曲を追加していくことで、日本のみんなに僕らの好きなものがもっと届いたらいいなって。

ーいいですね。

アンディ:ちなみに僕ら、昨日の晩も下北沢にいたんだよ(笑)。空港からホテルに着いたあと、すぐ電車に乗って ”シモ” まで出かけて。

ジェームズ:「なんばん亭」ってお好み焼き屋さんに行ったんだ。

アンディ:前にも一度行ったことがあって、僕らのサインを壁に飾ってくれてるんだよね。

ジェームズ:そうそう。それを発見して「これ僕らだよ!」なんて言ってさ。

アンディ:(日本に来ると)いつも遊んでるくらい好きな街なんだよ。



ー「下北沢◑昼」の1曲めにケイトラナダの楽曲がセレクトされていますが、彼の音楽は『Love Me / Love Me Not 』にも影響を与えているそうですね。

アンディ:そうだね、彼の作品はどれもすごく好きなんだけど。今回のアルバムは、これまでよりもヒップホップやラップ・ミュージックからの影響が大きいんだ。特にプロダクションの面でね。自分たちの音楽に、その雰囲気をもっと取り入れたかった。ビートが際立つようなイメージっていうか。ケイトラナダはそういうのが本当に上手いなと思うし、そういった意味でたしかに影響を受けたよ。

ー実際、「下北沢◑昼」でもキーファーやレジー・スノウなど、ヒップホップ系の楽曲が多く選ばれていますよね。ヒップホップの要素をより色濃くしようと思ったきっかけは?

アンディ:ヒップホップのプロダクションは特に知性的というか、音を良くするために考え抜かれてると思うんだ。
ジェームズ:とにかく音が最高。ベースにパンチが効いてて、でも細部までこだわりがあって質がいい。

アンディ:特徴的というか個性的なところも好きだな。たとえばヴァイナルの太いビートにシンコペーションが絡むようなドラムンベースとかもすごくいいよね。作品に独特の味をつけることって大事だと思うんだ。

ジェームズ:その特徴づけのために、悪い音質で録ったものをあえて大胆に使ったりするジャンルなんだよね。カニエ・ウェストがポール・マッカートニーと共作したリアーナの有名曲、「FourFiveSeconds」は知ってるでしょ?

ーええ。

ジェームズ:あのアコースティック・ギターの音は曲作りのセッション中に、ポールがなにげなく出した音の断片や会話なんかをカニエがiPhoneで録ったもので作られていて、ポールはカニエが曲を完成させるまでどのテイクがどんな風に使われていたか、一切知らなかったらしい。テンポを操って、ポールが歌ってる部分のピッチも少し上げられてることがわかるんだけど、そのおかげで魔法がかかってるというか。要するに、スタジオの高級機材で録ったきれいな音ばかりがいいものを生むわけじゃないんだよね。そういった柔軟なところにも惹かれるんだ。

僕らも実は、今回の「Day 1 ◑」でそれと似たようなテクニックを使っていて、あのピアノの音はiPadで録ったものなんだ。フレーズを弾き終わるまで友達にiPadを手で持っていてもらってさ。

アンディ:だから、ピアノだけのトラックを聴いてみると、僕らの話し声が入っちゃってるんだよね。「今のマジでよかった!」とか(笑)。




Translated by Kazumi Someya

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