エド・シーランを世に出した英インディーレーベルが挑戦する業界初の試みとは?

ロンドンのRoundhouseで開催されたMusic 4 Mental Healthに出演したエド・シーラン 2018年11月18日(Photo by Scott Garfitt/REX/Shutterstock)


音楽ソフトの流通会社がアーティストのマネージメント業務に乗り出すという極めて異例のアプローチは、時代の変化に伴い大幅な改編を強いられている音楽業界の現状を物語っているように思える。最も一般的な音楽の消費方法として定着したストリーミングがCDとダウンロード販売のセールスを凌ぐ現在、音楽業界はレコード会社をヒエラルキーの頂点とする従来のビジネスモデルの見直しを迫られている。レコード店やiTunesがそうであるように、ストリーミングサービスも広意義ではディストリビューターと言えるが、そのプレイリストやアルゴリズムが大ヒット曲を生み出している現実を考えれば、もはやその影響力は楽曲を世に送り出すレコード会社と同等だと言える。そしてアーティストたちもまた、成功する上でレコード会社はもう必須ではないという事実に気付き始めている。

専門家たちの多くは、2019年には小さな会社が包括的(あるいは全方位的)なサービスを提供することで、アーティストのキャリアにより深く関わろうとする動きが活発化するだろうと予想している。Dittoのアプローチはまさにその典型例と言えるだろう。

「音楽業界が大きく生まれ変わりつつある今、どの企業もより包括的なサービスを提供しようと躍起になっています。ディストリビューション業務を開始したSoundCloudやSpotifyがいい例です」Parsons氏が語るように、両企業はアーティストがレコード会社等を介さずともそのプラットフォームから楽曲を配信したりアップロードできるサービスを開始した。「私は長期的な戦略を練りたいのです。このアプローチは技術革新というよりも、むしろA&R業務に近い。ディストリビューションとマネージメントの両方を担うDittoの位置付けは難しいでしょうが、私自身はとてもフェアなレコード会社だと見なしています。我々はまったく新しいビジネスモデルを確立しようとしているのです」

Parsons氏によると、Dittoがロンドンのショアディッチに新たに購入したビルは「アーティストたちの制作活動を促すクリエイティブ空間」として使われる予定であり、将来的にはDittoが支社を構える20ヵ国で同様のスペースを設けるつもりだという。

Translated by Masaaki Yoshida

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