全米で加速化する反ワクチン運動、その影響は?

米国保健福祉省によると、特定の疾病に対するワクチンを特定のコミュニティが接種した場合、集団または地域に免疫力が付くという。つまり、病原菌は保菌者から保菌者へと広がっていくため、特定のコミュニティ内の大部分が特定の疾病に対するワクチンを接種していたとすれば、同疾病の流行を著しく遅らせることにつながる、という理論だ。しかし集団免疫の有効性は、コミュニティ内の少なくとも95%がワクチンを接種しているのが条件となる。事実、ワクチン接種率の低いコミュニティ(例えば、最近はしかが流行したニューヨーク州ロックランド郡の正統派ユダヤ人コミュニティ)では、伝染病の流行する率が高いことが明らかになっている。

さらに、伝染病が流行した歴史に学びさえすれば、ワクチン抜きの将来がどうなるかは知ることができるだろう。例えば、1970年代の英国における百日咳の流行。百日咳はワクチンで予防可能な病気だが、三種混合(ジフテリア、破傷風、百日咳)ワクチンが脳障害につながるという報道により、1974年〜1977年の間のワクチン接種率は80%から33%に急落した。その結果、1979年には百日咳の発生件数が10万2500件に上り、36人が亡くなったが、そのほとんどが子どもだった。(三種混合ワクチンと脳障害との明確な関係性は見つかっていない。)

驚くべきことではないが、ワクチン接種率の極端な低下が、ある感染症の復活につながる可能性がある。米国疾病管理予防センター(CDC)によると、ワクチンが開発される1921年以前、1万5000人以上の米国人がジフテリアにより死亡している。ワクチンが接種されるようになるとジフテリアの発生件数はわずかになり、2004年〜2014年の間のCDCへの報告例は2件のみだった。

結論:子どもたちへのワクチン接種は個々の子どもの健康のためになり、ひいては公衆衛生に貢献する。

Translated by Smokva Tokyo

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