全米で加速化する反ワクチン運動、その影響は?

両親の希望に反してワクチンを接種し、米国議会で証言した18歳のイーサン・リンデンバーガー(2019年3月5日)。 JIM LO SCALZO/EPA-EFE/REX/Shutte

世界保健機関(WHO)は“ワクチン忌避”を、2019年の最も差し迫った公衆衛生上の脅威のひとつに挙げた。全米で広まるワクチン接種の拒否、果たしてその影響とは?

2019年3月5日、米上院保健委員会は、はしかの発生と広範囲の感染を防ぐためのワクチンの重要性について証言を受けた。両親の意に反してワクチンを接種した18歳のイーサン・リンデンバーガーによる証言は、説得力があった。また、医師でもあるランド・ポール上院議員(共和党、ケンタッキー州)は、子どもたちにワクチンを接種させる義務を両親に負わせるべきでないとし、「“ワクチンにリスクはない”とするのは誤りだ」と主張した。ワクチン接種と自閉症との関連性を疑う両親もいる。しかしこれまで繰り返し示されてきた通り、両者の間に直接の関連性はない。

残念ながら、ワクチンと自閉症に関連があるとする考えは依然として、ソーシャルメディア上に蔓延している。Facebook等のSNSプラットフォームが「不正確で誤解を招くような情報を取り締まる」と主張しているにもかかわらず、反ワクチンのプロパガンダは広がり続けているのだ。その結果、2018年にPLoS(Public Library of Science)メディスン誌に掲載された調査研究によると、ワクチン拒否が違法でない12の州で、医学的な根拠もなくワクチン接種を否定する両親が増えたという。

さらに、世界保健機関(WHO)は“ワクチン忌避”を、2019年の最も差し迫った公衆衛生上の脅威のひとつに挙げた。WHOは、警戒すべき傾向を示す証拠のひとつとして、はしかの流行が世界全体で30%増加したことを挙げている。米国のワシントン州、カリフォルニア州、オレゴン州等で、はしかの発生が報告されており、全米での発生は559%増加している。Kat Von Dら有名人が反ワクチン運動を煽っても、状況を改善する助けには全くならない。

そこで浮上するのが、「反ワクチン運動が広まり、子どもたちへのワクチン接種が中止されると、いったいどうなるのか?」という疑問だ。

Translated by Smokva Tokyo

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