TREKKIE TRAXが語るBMTH「クラブ・ミュージックの文脈で見ても前衛的なことをしている」

ーそんなお二人が『アモ|AMO』を聴いた感想は?

futatsuki:クラブ・ミュージックとか今のトレンド要素がミックスされていて、かつてのミクスチャー・ロックの現代版だなと。いろんな要素が入っていて、それが今っぽくアップデートされているという意味で、僕は違和感なく聴けました。普段聴いているのは、レーベルを運営していることもあり、フューチャーベースやヒップホップ、R&Bが中心なんですけど、それでも違和感なく入ってくる。昔好きだったブリング・ミーの感じもあって新鮮ですし、そもそもロックバンドでこんなバンドは他にいないので……。誰でも聴けるキャッチーさがあるし、前衛的な要素もありますよね。



Masayoshi:雰囲気が今のダンス・ミュージックに近くて。EDMの流行りがひと段落したから、エレクトロニック・ミュージックもみんな試行錯誤している段階なんですよね。インダストリアルな質感の曲もいっぱいあるし、フェスとかでもそういう曲はかかるし、かなり前衛的になってる。そういう点で今のシーンを追ってると思いました。

僕はどの音楽も基本はダンス・ミュージック的な聴き方をしてしまうんですけど、最近、バンド側がダンス・ミュージックに寄ろうとしているし、ダンス・ミュージック側もバンド側に寄ろうとしている感じはあって。実際、アメリカのフェスとかに出るプロデューサー/DJもバンドがライブでやっているような演出方法を積極的に取り入れていて……そういう現状を踏まえても違和感なく聴けるアルバム。ロックとダンス・ミュージックのクロスオーバーってうまくいかないことも多いけど、この作品は全体でバランスがよく考えられていて。

futatsuki:確かに、イントロから前フリ的なパートが続いて、そのあとビルドアップ〜ドロップの部分でヴォーカルが歌いだして盛り上がる……こういう構成ってダンス・ミュージック的ですし、今のポップスのイメージを踏襲しているなと思いました



ー「OUCH」とかは実験的な曲ですよね。

Masayoshi:スネアが昔のIDM(Intelligent Dance Music)っぽいよね。

futatsuki:ヴォーカルの歌い方や質感はフューチャーベースみたいだし、この曲はすごく今っぽいですね。でも、フューチャーベースっぽく展開するなら四つ打ちでハーフビートになるんですけど、この曲はなぜかブレイクビーツのビートになるんです。

Masayoshi:謎ですね。

futatsuki:つまりクラブ・ミュージックの文脈で見ても前衛的なことをしてる。すごく売れ筋っぽく作ってあるのに、あえて外してる部分もたくさんあって面白い。

ーバンドでダンス・ミュージックのスタイルを自然に表現するっていうのは結構大変そうですね。

Masayoshi:そうだと思います。このクラスのバンドになるとプロデュース面での研究がかなりされているのかなと。

futatsuki:以前にもロックとダンス・ミュージックが近くなった時期はあって。例えば、スクリーモ後期のピコリーモとか。当時はダンス・ポップやダンス・ロックが流行っていて、ああいうスタイルが流行ったと思うんです。逆に今のクラブ・ミュージックの流行りを取り入れているバンドって、そんなにいない。それにピコリーモと呼ばれてたバンドは昔の枠から脱却できていない印象が強くて、だからブリング・ミーはあえて一番最先端の音楽を取り入れているのかな、と。

Masayoshi:バンドはメンバーみんなで集まって練習したり、ステージでパフォーマンスをしたりしなくてはいけない。それをやり遂げるには全員の「これがやりたい!」っていう理想があって、精神的な部分でも強く結ばれてないとできないと思うんですよね。僕はパソコンで一人で音楽を作ってますけど、僕の場合は自分一人で試行錯誤しながら作り上げたほうが楽しいっていうのもあるんです。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE