マイケル・ジャクソンを告発した2人と監督が語る、この映画を作った理由

お二人とも、ジャクソンのファンに自分たちを信じてくれと訴えているようには見えませんね。

ロブソン:誰かを説得することなんてできないよ。どんなことでもね。誰もがいろいろなことについて、自分で決定を下している。そして心の準備ができたときに、ようやく物事を受け入れられるんだ。僕も、ジェイムズも、ダンも、そして映画も、コントロールすることはできない。望みがあるとすれば、この映画がきっかけで会話が始まって、広がっていくこと。相手の話に耳を傾けないうちは、誰も否定することなどできない。恐ろしいことや忌まわしいことでも、口に出さなくちゃいけない。それが唯一、状況を変える手段だよ。

セーフチャック:誰かの考えを変えるつもりなんてなかった。それは間違った期待だと思うよ。僕はただ、ほかの被害者に手を差し伸べたかった。それが僕にできることだからね。だけど、マイケルに対する考え方を変えるというのは健康的じゃないね。もしそういう視点で映画を作ったのなら、がっかりしていただろう。



明らかにジャクソンは、お二人の人生の一部として存在し続けることになるでしょう。ですが、彼との経験で自分のアイデンティティが決まってしまうのはどうなんでしょうか?

ロブソン:訴訟を起こすことを決める以前に、僕の中に沸き起こった願望、それが訴訟を起こす決め手にもなったんだけど、いやな出来事をいいものに変えるにはどうすればいんだろう?ということ。どうすればほかの被害者の役に立てるんだろう? そうした思いは今も抱いている。でも、もし他の被害者を救うことができて、啓発や防止に少しでも役に立てるなら、喜んでそうするよ。

セーフチャック:僕にとって訴訟を起こしたのは、反撃したかったから。自分は行動を起こしたんだぞと思いながら、この後の人生を送りたかった。勝ち負けなんて関係なく、自分はとにかく戦ったんだ。あんなに注目されたのは予想外だったけどね。ここまで大ごとになるとは想像もしていなかった。自分にこう言い聞かせていたよ、「反撃に出ても……何も変わらない。せいぜいけなされて、世間から反感を買うだろう。それでも気にしちゃいけない、正しい理由のために行動を起こすんだ」 正しい理由とは、反撃に出ること。ちゃんと覚悟はできていたよ。

Translated by Akiko Kato

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