バックチェリー新章突入、ロックンロールのカリスマが歩んだ起死回生の道のり

現在のラインナップはジョシュ、スティーヴィー・D(Gt)、ケヴィン・レントゲーン(Gt)、ケリー・レミュー(Ba)の4人。その編成で作り上げたのが、この8thアルバム『Warpaint』になる。今回はパパ・ローチ、ヘイルストーム、オール・ザット・リメインズなどの作品を送り出し、起死回生の3rdアルバム『15』を手がけたマイク・プロトニコフをプロデューサーに起用している。過去作と比較しても今作には新しい風が吹き込まれ、いい意味でバラエティに富んだ曲調が揃っている。1曲1曲が粒立ち鮮やゆえに、作品トータルで楽しめる一枚と言っていい。従来のバックチェリー・ファンを満足させながら、冒険心に溢れた作風がバンドを新たなフェーズに導いている。そこが素晴らしい!

今作の表題についてジョシュは「子供の頃はネイティヴ・アメリカンやウォーペイント(ネイティヴ・アメリカンの男子が戦いに出かけるときに顔や体に施す化粧)に魅了されたんだ。俺は救命ボートを断ち切って、命がけで何かに取り組んで振り返らない人が好きなんだ」と熱く語っている。それはまさしく今作の内容にも言えることだ。

1stシングル「Bent」で聴くことができる、勢いに満ちたモダンなロック感は文句なしのかっこ良さ。さらに驚くのは3曲目にナイン・インチ・ネイルズの1stアルバム『Pretty Hate Machine』のオープナー「Head Like A Hole」を収録していること。ジョシュ本人はトレント・レズナーと直接的な面識はないようだが、自分たちらしいサウンドを築き上げているという意味において、密かに憧れを抱いているそうだ。しかも原曲の力を借りているとはいえ、いままでのバックチェリーではあり得ないほど重心の低いヘヴィなサウンドでカヴァーしている。これはジョシュがスティーヴィー・Dに声をかけ、ジョシュ・トッド&ザ・コンフリクト名義で2017年に出した『Year of the Tiger』のフィードバックもあるのではないか。これまでになくラウドに振り切った音色がマッチした好作品だったから。まだ未聴の方がいたら、是非チェックして欲しい。

ほかにも「Backdown」「No Regrets」では女性コーラスを大胆に導入したりと、バックチェリーかくあるべし、という呪縛から解き放たれたような風通しの良さを今作から感じる。聴く者のケツを蹴り上げる豪快なロックンロール・ナンバーを揃えながら、多彩なアプローチを試みた今作は戦い続ける男・ジョシュの生き様が刻まれているようだ。






<リリース情報>

バックチェリー 『ウォーペイント』

バックチェリー
『ウォーペイント』
発売日:2019年3月6日(水)日本先行発売
品番:SICP-6017
価格:¥2,400+税

=収録曲=
1. ウォーペイント
2. ライト・ナウ
3. ヘッド・ライク・ア・ホール ※ナイン・インチ・ネイルズのカバー
4. レディオ・ソング
5. ザ・ヴァキューム
6. ベント
7. バック・ダウン
8. ジ・アラーム
9. ノー・リグレッツ
10. ザ・ハンガー
11. クローザー
12. ザ・デビルズ・イン・ザ・ディテールズ
13. ジャングル・ラヴ ※日本盤ボーナストラック、ザ・タイムのカバー
14. バーン・レート ※日本盤ボーナストラック
15. カミカゼ ※日本盤ボーナストラック

配信先リンク:https://SonyMusicJapan.lnk.to/Warpaint

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