リトル・シムズが語るUKラップのリアリティ「自分を女性ラッパーとは思っていない」

リトル・シムズ、昨年11月に渋谷で撮影(Photo by Hana Yamamoto)


ー新作『GREY Area』についても聞かせてください。冒頭を飾る「Offence」と「Boss」は、これまで以上に「怒り」が伝わってくる曲だと思いました。

うーん、「怒り」というのは少し違うかな。あそこで私が表現したかったのは「fierce(荒々しさ)」だと思う。いろんなものを内側に溜め込んできて、それを一気に吐き出す準備が整ったというか。自分のなかに新しいエネルギーが吹き出してきて、今にも溢れだしそうな感じ。「そっちのゲームには乗らないし、自分のやり方で行かせてもらうわ」みたいな決意も込めているけど、シリアス一辺倒でもないし、遊び心だって感じられると思う。

ー溜め込んでいたものを出してみて、どんなふうに思いました?

超スッキリした(笑)。裏では黙々と曲作りしていたんだけど、2年くらい新しい音源を出してなかったから、どこへ行っても「次のはいつ?」って聞かれまくって。それもあって、表現への欲求も高まっていたの。

ー3曲目の「Selfish」も印象的です。この曲ではどんなことを伝えたかったのでしょう?

「Selfish」は自分勝手を意味する言葉だけど、その対義語は「Selfless」(=自分をないがしろにする)だと思っていて。私にはリスクを顧みず、みんなに尽くそうとするところがある。でも、そこを付け込んできたり、そうすることが当たり前だと考える人もいるわけ。だから、「Selfish」という曲では「もっと自分を大切にしてもいいんじゃない?」ということを歌っている。自分のために自分勝手になる、みたいな。自分が万全じゃなかったら、誰かを助けることもできないから。





ー2016年の前作『Stillness In Wonderland』はコンセプチュアルな内容でしたが、今回のアルバムはどんな内容になったと思います?

前作のようなコンセプト・アルバムではないわね。もし共通するものがあるとすれば、自分の成長を綴っているところ。今回のアルバムでは、特にその辺りへフォーカスを当てていて。20代である自分が今日の社会において、女性としてどんな場所にいるのか紐解こうとしているの。『Stillness In Wonderland』では音楽業界のこととか、(ラッパーとして注目されるようになり)新しい生活に放り込まれたことへの違和感を歌っていたけど、今回はそれよりも自分にとってのリアルを見つめたものになっていると思う。

ーラップ・シーンのなかで女性として表現することに対し、どんな考えを持っていますか?

というか、私は自分のことを“フィメール・ラッパー”とは思っていない。“男性ラッパー”という言い方をしないのと一緒。女性だけそんなラベリングされるのは間違ってるし、自分のことは単なる一人のミュージシャンだと思っている。


Photo by Hana Yamamoto





リトル・シムズ

『GRAY Area』
2019年3月1日(金)リリース
レーベル:AGE 101 MUSIC / BEAT RECORDS

=収録曲=
1. オフェンス
2. ボス
3. セルフィッシュ(feat. クレオ・ソル)
4. ウーンズ(feat. クロニクス)
5. ヴェノム
6. ワン・オー・ワン・エフエム
7. プレッシャー (feat. リトル・ドラゴン)
8. セラピー
9. シャーベット・サンセット
10. フラワーズ(feat. マイケル・キワヌーカ)
11. シー (Bonus Track for Japan)

詳細:https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=10064

Translated by Kazumi Someya

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