2度の助演男優賞受賞、マハーシャラ・アリという生き方

アリはその役のために数ヶ月ピアノを習った(デジタル技術を駆使していることも認めている)。しかし、彼は自信に満ちあふれエキセントリックで雄弁でありながらも内に苦悩を秘めたこの天才を、それでも親しみやすく、真実味が感じられるようなトーンで演じることに最大限の力を注いでいた。「彼はまるでフェンシングの剣士のようだ。巧みな技と軽いフットワークで演じなければいけない。逆に『トゥルー・ディテクティブ』のウェインは言うなればブロードソード使いだ」と彼は言う。

『トゥルー・ディテクティブ』の新シーズンでアリは、1980年に起きたオザークでの2人の子どもの失踪事件を調査していたが数十年後に何かにとりつかれたように再調査するアーカンソー州の刑事ウェイン・ヘイズを演じている。「あれは強烈だったよ。またやりたいと思っている。俳優としてすごく成長できたと感じているからね」と3つの違う年齢を演じなければならなかった7ヶ月の撮影を振り返る。

サンプル
Photograph by Melodie McDaniel for Rolling Stone

プロデューサーはアリのオスカー受賞の後すぐにその仕事のオファーを出した。彼はシリーズを引き継ぐこと、そして1960年代にカリフォルニア州警察だった彼の祖父ウィリー・ゴインズへの敬意の印にできるということで楽しみにしていた。最近、HBOでアリがプロデュース兼主演を務める番組が決まったことからもその成功は明らかであった。彼はまだ何も発表していないので誰かにアイデアを盗まれる心配はない。「ついにより権限のあるポジションで仕事ができるようになることを実感している。『トゥルー・ディテクディブ』はまさにあの時の自分がやりたかったことだよ。ただ存在した選択肢の中でベストだったというわけじゃなくてね」とアリは言う。

Translated by Takayuki Matsumoto

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE