米国防総省のクラウド契約を巡る、トランプとベゾスの億万長者対決

ジェフ・ベゾス(左)とドナルド・トランプ(右)(Cliff Owen/AP/REX/Shutterstock, REX/Shutterstock )


各メディアも同契約に批判の声を上げている。ヴァニティ・フェア誌は2018年8月に投稿した記事で、JEDIの1375ページに渡る企画書には、数社のみを候補に残すための“多くの技術上の制約”が設けられている、と主張した。例えば、「クラウドサービスにより年間20億ドル(約2215億円)の収入があること」などという要件が挙げられているという。

ほぼ同時期にワシントンでは、非公式に作成された100ページに渡る“調査書類”が出回り始めた。同調査は、Amazonに受注させるための国防総省内の一部幹部による汚職疑惑を主張している。

調査・セキュリティ企業のロゼッティスターが作成したとする“調査書類”に書かれたストーリーは(同社は正式なコメントを避けているが)、TV番組『The Steele Report』が伝えた内容とほぼ同じだった。とある民間調査会社が、出所不明の汚職疑惑をワシントン中の記者に配布し、その内の何人かが食いついてくれることを期待したという。

Steele Report同様、当初は誰も食いつくものはいなかった。或いはウェブサイトNextGovによれば“数か月”も放置されていたという。2018年12月になって同サイトがようやく、『Someone is Waging a Secret War To Undermine The Pentagon’s Next Cloud Contract(ペンタゴンの次期クラウド関連契約を食いものにする密かな戦争を仕掛ける者の存在)』と題した独自の記事を掲載した。

言い換えれば、トランプとベゾスのどちらにとっても手痛い、彼らや彼らのビジネスについての非公式に作成されたレポートが、ワシントンに出回っているのだ。

両者は、それぞれ相手が自分を陥れようとしていると思っている。トランプは、(自身が“ジェフ・ボゾ”と呼ぶ)ベゾスと“アマゾン・ワシントン・ポスト”の手下が、ホワイトハウスに対するロシア疑惑を焚き付けている張本人だ、と信じている。一方のベゾスは、最近の彼の私生活に対する非難の陰にはトランプがいる、と確信している。

ナショナル・エンクワイアラー紙がベゾスとローラ・サンチェスとの不倫に関する暴露記事を掲載した時、ベゾスはトランプの存在を確信した(記事がきっかけでベゾスは25年連れ添った妻と離婚している)。ベゾスは同紙と、親会社のAMI、AMIのCEOデヴィッド・ペッカーを、トランプと結託してメールや“下半身のセルフィ”をネタに彼を脅迫したとして、非難した。

ベゾスはMediumに、『No thank you, Mr. Pecker(余計なお世話だ、ミスター・ペッカー)』という楽しくないタイトルの記事を投稿した。

ザ・デイリー・ビーストの記事によると、“ベゾスの個人セキュリティチーム”の“調査員たち”が“ベゾスやサンチェスの電話へアクセスした可能性のある大統領につながるさまざまな人物”を調べているという。特に調査員は、ベゾスの愛人の兄であるマイケル・サンチェスに注目している。彼はトランプ支持者で、ロジャー・ストーンともつながりがあるとされる。

これらの話は興味深いと同時に不快でもある。しかしザ・ヴァージは最近の記事で、エンクワイアラーへのメールや写真の流出は“もっともらしい”が、“話を裏付ける直接的な証拠がない”と指摘している。

ベゾス=トランプ戦争はワシントンを騒がせ、広く力の及ぶ政治的な陰謀の物語で人々の感覚を麻痺させた。しかしこれまで確実に明らかなのは、両者とも彼らの下半身に関する吐き気を催すような話の詳細を、ニュースを通じて公にすることで軽率にも妻を裏切ったということだ。

本校執筆時点(2019年2月)で、次の大統領選まで2年ある。ベゾス=トランプ戦争はもうしばらく続きそうだ。まるで第三世界における好かれない独裁者同士による汚い権力闘争のようで、選挙も行われず国民は振り回される。

もしもベゾスが勝利すれば、強大な政治力と情報力を持って国民を監視下に置き、選挙によらず君臨する初の現実世界の“ビッグ・ブラザー”となるだろう。逆にトランプが勝てば……ローリングストーン誌の読者には説明する必要もないだろう。なぜかレッスルマニアが懐かしく感じる。

Translated by Smokva Tokyo

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