モモコグミカンパニーの居残り人生教室「会社員からレコードバーのマスターへ転身した理由」

モモコ:オープン当初からお店は順調だったんですか? 何か転機みたいな出来事とかありましたか?

伊藤:渋谷っていう立地もよかったし、口コミで面白がってもらえたので、最初から割と順調でしたね。CHABOさん(仲井戸“CHABO”麗市)がMCを務める音楽番組があって、その撮影場所で使ってもらったことがあるんです。それも大きかった。あと、このお店を作った時の作戦が当たったということかな。

モモコ:どんな作戦ですか?

伊藤:とにかくきれいな店を作りたかったの。そして落ち着いて飲める居心地の良い店。ちょっと薄汚れた感じのマニアックなバーというよりは、徹底的にきれいな店を作ろうと思って。だから店の内装もかなりこだわりました。



モモコ:口コミの力って大きいですよね。音楽でもそうですけど、人の口コミの信頼度ってすごいじゃないですか。

伊藤:来店したお客様が「ここ気に入った!」となって友達を連れて来てくれる。そして友達もこのお店を気に入ってくれる。そういう素敵な関係が築けるんだなってことをオープンして最初の半年間で体感したんですよ。フリーで一人で飛び込みで来たお客様が結果的に一番根付いてくれます。開店以来ずっと毎週来てる方もいるし、去年辺りから毎週来るようになった方もいるし、毎日のように来る方もいる。

モモコ:伊藤さんが店主として一番大切にしてることは何でしょう?

伊藤:僕はお客様の笑顔が見たいんです。いろんなお店を知った上でこの店を気に入ってくれる中高年の方が多いんですけど、そういうお客様がこれからも増えてほしいし、僕もお客様のために全身全霊でお返ししたい気持ちがある。ただ、毎回「楽しかった」って納得して帰っていただけるように、いろんなことをしなくちゃいけない。例えば、チェーン店の居酒屋やお姉ちゃんがいるようなお店と同じように騒ぐ方にはあんまり居着いてほしくないし、もしそういう方が自分の店で騒いでたら注意する。だからソフトなことだけじゃないんです。お店って1軒1軒発想が違うものだから。

モモコ:私たちBiSHも「笑顔が見たい」ってとこでは一緒かもしれないです。去年の12月、幕張メッセでライブをやったんですけど、毎日リハーサルをしながら自分たちで考えることが多くて。お客さんに360度囲まれたセンターステージだったので、これまでの振り付けを考え直したりとか、ファンの方に笑顔になってもらうための苦しみがたくさんありました。

伊藤:楽しみが1に対して苦しみが9。苦しみは努力って言えるかもしれないけど、努力せずして幸せはないよ。

モモコ:自分たちでも実感しました。

伊藤:いいグループだっていう証拠だよ。お仕着せでやるより、自分たちでやるってことだよね。

モモコ:そうですね。もちろん周りの方たちあってのことですけど、自分たちの意見を言っていくことが大切なのかなって。

伊藤:楽しんでもらうために自分たちが一生懸命にやる。それって人に伝わるものなんだ。「努力してます」って言わなくたって、その一生懸命さって人は感じられるものなのよだよ。そういう人が幕張メッセを埋めるくらい増えてきているってことは、今のBiSHにとって大切なことだと思う。

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