アリアナ・グランデの『thank u, next』はたった2週間で完成した

アリアナ・グランデ(Photo by: Andrew Lipovsky/NBC/NBCU Photobank)



結果的に完成したアルバムは、グランデのこれまでの作品とは一線を画している。「彼女がポップ・ソングとか、たまにソウルベースを歌うのは聴きなれているけど」とジャメール・ロバーツは説明する。「このアルバムの何曲かはまったく違う。一歩踏み出したんだ

そうした変化には構造的なものもある。予算をつぎ込んで制作する昨今のアルバムは、『スウィートナー』も含め、冒頭、もしくは中盤に厚みを持たせて、そのあと徐々に先細りしていく。だが『thank u, next』は、3曲のバラードで静かにスタートし、最後はストリーミングで大ヒットした「thank u, next」と「7 rings」の2曲に加え、茶目っ気と力強さが共存した「Break up With Your Girlfriend, I’m Bored」で嵐のごとく幕を閉じる。グランデは今までこんなふうにアルバムを構成したことはなかった。

構造だけでなく、一つひとつの楽曲もこれまでとは異質だ。「Imagine」と「In My Heart」を共同作曲し、「Fake Smile」ではアリシア・キーズのフェンダーローズ・ピアノなど様々な楽器を演奏したロバーツは、グランデが「Imagine」を収録すると決めたとき、驚きを隠せなかった。「3拍子の曲なんだよ。いまどき3拍子の曲なんてほとんどお目にかからない。ポップではなおさらだ」と説明する。だがグランデは、8分の6拍子の曲を『thank u, next』の1曲目にもってきた。「“In My Head”をかけると、いきなりあんな感じで聞こえてくるから(拡張したベースラインに、留守電のメッセージとドスのきいたラップのビート)、『これがアリアナの曲だ』とは夢にも思わないだろうね」とロバーツは続けた。「“Imagine”では、最後のほうは裏声で歌っている――彼女、一皮むけたね」



お次は「NASA」。恋愛関係を描くとき、ポップの場合は「いい関係」と「悪い関係」に二分しがちだが、この曲で語られるのはその中間の超ロマンティックな関係。ジョーク交じりに(宇宙飛行になぞらえながら)真剣な思いを伝えている(<今夜はうちに来ないでちょうだい、でもあなたのことは好きよ>)。タイラ・パークスとともに「NASA」のメロディを書いたモネは、曲の中の心情をこう説明する。「関係を終わりにする気はないし、相手が何か悪いことをしたわけじゃない。ただ、ちょっと今日明日中に片付けたい用事があるだけ。変わった内容だけど、女性にはぜひ聴いてほしいわ」

Translated by Akiko Kato

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