ジョージ・クリントン最新語録 Pファンクの半世紀とツアー引退の真相を語る

―これまでのツアーを振り返って、自分史上最もワイルドだったコンサートはどんなものでしたか?

初めてマディソン・スクエア・ガーデンでプレイしたときだな(1975年)。俺たちの宇宙船は地上に着陸はしていたけど、あれだけ大きな会場で、大勢の観客の前で、懐中電灯に照らされて……なんてライブは未経験だった。ほんと、会場全体がホタルみたいにライトアップされていたよ。観客は懐中電灯と『スター・ウォーズ』のライトセーバーみたいなやつを持っていたね。あれが「Flash Light」のコンセプトが生まれた瞬間だよ。自分の声すら聞こえないくらいの歓声だった。ブーツィーが前に出て「ハレルヤ!」って叫んだら、まるで世界の終わりを連れてくるような声に聞こえたよ。



―今回のツアーにブーツィーが参加する予定はありますか?

ああ、あるよ。彼も引退したから、できないって答えもあり得る。でもきっとステージに上がって何かしてくれるよ。ドラムとか何かをプレイするはずさ。この機会を逃すはずは絶対にない。彼もスライもね。彼らは絶対に参加するはずなんだ。何かしてくれるよ。

―観客の懐中電灯以外で、あなたが目撃した観客の一番クレイジーな行動は何ですか?

観客がありとあらゆるブームボックス(ラジカセ)を持参していたことがある。連中は俺かブーツィーみたいなコスチュームを着ていた。それもサイズの大きいやつをね。あと、竹馬に乗っていた連中もいたよ。以前は俺たちの周りを竹馬に乗って進む一群がいたけど、彼らが誰なのかはまったくわからなかった。というのも全員が3.6メートルの巨大な人形のコスチュームを纏っていたから。このグループは一時期、俺たちのあとをついて回っていたよ。

―マザーシップでツアーを行ったとき、費用は自腹を切ったのですか? それともレーベルから支援があったのですか?

俺が自腹を切った。ニール(・ボガート:カサブランカ・レコーズの創業者)に言ったんだよ、俺に金をよこすよりもマザーシップの資金繰りに使う方が簡単だって。金額的には25万ドルくらいだったし、コスチューム代がそれくらいかかったから。あれはラリー・レガスピがブロードウェイの演劇をやっていた頃だ。

―初めてのコンサートは覚えていますか?

最初のコンサートは高校の頃で、ジャージーのYMCAか公園でやったと思う。あと、ブルックリンに行ったり、アポロシアターのアマチュアナイトにも出演したよ。「Testify」が(1967年に)出たとき、125番街でWWRLの(ラジオDJ)フランキー・クロッカーと一緒にブロックパーティーをやったこともあった。当時、WWRLでナンバーワンだった「Testify」と俺たちを紹介してくれたのが彼だ。彼は他の連中と一緒に俺たちをマディソン・スクエア・ガーデンに連れて行ってくれたし、96年にはセントラルパークで俺たちを迎え入れてくれたんだよ。



―最近、自分のアルバムの著作権の返還を求めて戦っているようですが、状況はどんな感じですか?

これは俺の使命だ。『One Nation〜』を取り戻したし、『Knee Deep』も『Hardcore Jollies』も取り戻した。次は『Flash Light』のために戦うよ。自分の作品の著作権のために戦う必要があるんだ。俺にキャリアを推進する力と音楽を作る力を与えてくれたものだから、昔の楽曲に恩義を感じているのさ。連中をギャフンと言わせてやる。今の俺の使命がそれ。あとでドキュメンタリーを作ろうとも思っている。連中が俺たちから盗んだ何百万ドルという金を隠すためにどんなことをしたのか、みんな自分の目を疑うくらいのすごい話だから。本当にとんでもない話なんだ。次のミッションがこのドキュメンタリーを作ることだよ。

でも、昔の音楽を取り戻したから、あの楽曲たちにこれから敬意を払うつもりだ。たくさんの人のキャリアの一部になってきた曲たちだし、それこそ、サンプリングして自分の楽曲に取り入れたアーティストたちも含めた全員の一部なんだよ。だから、そういった楽曲をもっと価値のあるものにしていこうと思う。加えて、新しい曲もできているし、そっちの著作権は俺たちの家族に直接行くようになっている。楽曲によっては問題が起きてしまうこともあるだろうが、そういうことにも対処する準備はできている。

―最後に、アイス・キューブの新曲「That New Funkadelic」はどう思いますか? あなたのサウンドを複製しているようですが。

俺はすごく気に入っているよ。彼がリリースする半年前に(音源を)もらっていたけど、非難する点なんて一つもない。(歌いながら)「アイス・キューブは新しいファンカデリックをやった、新しいファンカデリックを」。実は、もうすぐ俺たちもこの曲をステージでプレイするつもりなんだ。

※関連記事:ジョージ・クリントン「トランプ大統領はファンク要素ゼロ」



ジョージ・クリントン来日公演

〈大阪〉
2019年4月27日(土)ビルボードライブ大阪
詳細:http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=11356&shop=2

〈東京〉
4月29日(月)〜30日(火)ビルボードライブ東京
詳細:http://www.billboard-live.com/pg/shop/show/index.php?mode=detail1&event=11355&shop=1

◼️メンバー
ジョージ・クリントン / George Clinton (Musical Director, Vo)
スティーブ・ボイド / Steve Boyd (Vo)
ゲイリー・"マッドボーン"・クーパー / Gary"Mudbone"Cooper (Vo)
マイケル“クリップ”ペイン / Michael“Clip”Payne (Vo)
ブランディ・スコット / Brandi Scott (Vo)
トニーシャ・ネルソン / Tonysha Nelson (Vo)
パタヴィアン・ルイス / Patavian Lewis (Vo)
テイリ―・パークス / Tairee Parks (Vo)
トレイシー・ルイス・クリントン / Tracey Lewis Clinton (Vo, Rap)
ボウヴィエ・リチャードソン / Bouvier Richardson (Rap)
ルショーン・クリントン ジュニア / LuShawn Clinton Jr. (Rap)
カルロス"サー・ノーズ" マックマレイ / Carlos"Sir Nose"McMurray (Dancer)
ダニエル・ベッドロジアン / Daniel Bedrosian (Key)
トラファエル・ルイス / Trafael Lewis (Gt, Stage Manager)
ドウェイン・"ブラックバード"・マックナイト / Dewayne “Blackbyrd” Mcknight (Gt)
ギャレット・シャイダー / Garrett Shider (Gt, Vo)
ライジ・カリー / Lige Curry (Ba)
ベニー・コワン / Bennie Cowan (Trumpet)
グレッグ・トーマス / Greg Thomas (Saxophone)
ベンジャミン・"ベンゼル"・コワン / Benjamin"Benzel"Cowan (Dr)

Translated by Miki Nakayama

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