イヤーズ&イヤーズが語る日本での記憶とK-POP、ポップ・ミュージックの地殻変動

―『Palo Santo』をリリースしたあと、Key(SHINee)を迎えたリミックスも配信されました。あのコラボはどういった経緯で実現したのでしょう?

エムリ:コラボレーションが実現するときは、例えばフェスのバックステージで会って意気投合したりとか、たまたま知り合いだったりとか色々なパターンがあるんだけど、今回の件はレーベル間の話し合いで実現したんだと思う。あまりロマンティックな回答じゃなくて申し訳ないんだけどさ。Keyとは会ったことがなかったけど、オリ―は彼の声が本当に好きで、とても素敵なコラボになったと思っているよ。



―昨年はBTS(防弾少年団)が全米チャート1位に輝くなどのトピックもありましたが、韓国やアジアの音楽にも興味はあったりしますか?

エムリ:僕は90年代後半のR&Bやポップミュージックがとても好きなんだ。K-POPには自分が90年代後半の音楽に感じていたような、エキサイティングな雰囲気があると思う。曲もいいしプロダクションも素晴らしいうえに、ビデオがとんでもなく素晴らしい。毎回観るたびに驚かされるし、今でもそういった事をできる人たちがいるのは素晴らしいことだと思うよ。

特にBTSはとてもクールで、アジアのみならず世界へと活躍の幅を広げているよね。彼らはこれからどんどん大きくなっていくと思う。今はネットとかのおかげて、90年代と比べて国境や地域の枠を超えた交流が圧倒的に多いし、BTSのようなグループは真のグローバルな現象になっているよね。できることなら僕も彼らのビデオに登場させてもらいたいよ。

―2015年に来日した際のインタビューで、エムリが「ポップ・ミュージックは常に変化している。そうあるべきなんだ」と話していたのが印象的です。(Billboard JAPANに掲載)。2018年から今年にかけてのポップ・ミュージックの変化については、どのように捉えていますか?

エムリ:バンド内でも意見が分かれるところなんだけど、個人的には変化は良いことだと思う。一番大きな変化はストリーミングじゃないかな。こういったテクノロジーの変化はただ音楽の聴き方を変えるだけではなくて、音楽の作り方にも大きな影響を与えると思う。曲も短くなりがちだし、最近のリスナーはすぐにサビを聴きたくなっちゃうんじゃないかな。Spotify効果とでも言おうか。

そして、アルバムはもう死んでしまったと言ってもいいのかもね。もしくは寝ているのかな(笑)。残念な話だけど、リスナーはもうアルバムを聴きたいとは思っていないんじゃないかな。ただ、変化を恐れてはいけないと思うんだ。例えば50年代にレコードが誕生したとき、ポップソングはレコードの収録時間に合わせるために3分程度のフォーマットに変わっていったたよね。だから今経験しているような変化は決して初めての事ではなくて、これまで何度も起こってきたことなんだ。ポップミュージックにこういった変化がおこるのは、当たり前のこととしてポジティブに捉えるべきだと思う。

―イヤーズ&イヤーズとしては、今日のポップ・ミュージックの変化に対して、どのように対応することを心がけているのでしょう?

エムリ:そうだな。まず一つは曲をリリースし続ける必要があるね。『Communion』をリリースしたあと3年ほどかけてツアーをしたけど、今は昨年アルバムをリリースしたばかりなのに、ツアーを続けながら次のリリースについても話しはじめているところだよ。クリエイティブな形で、常に新しいことをしていかなくてはならない。それが今もっとも重要なことじゃないかな。止まってはいられないんだ。

―日本公演も含めてツアーが続きますが、2019年の活動予定や抱負を聞かせてください。

エムリ:あと数ヶ月で子供が産まれるんだ! 初めての子供さ。だから、今年はなるべく家にいるようにしたいと思っているよ。でもその一方で、イヤーズ&イヤーズとしてはできるだけツアーで色々なところへ行くことだね。両立はなかなか難しいけど頑張ろうと思うよ!

マイキー:僕はとりあえず日本に行って、カラオケとディズニーランドに行きたいね! 時間がないから難しいと思うけど……。あとは今、新曲を作っているところだから早くみんなに届けたいよ!


インタビュー実施後、バレンタイン・デーに捧げられたMNEKとのコラボ曲「Valentino」が新たに公開された。



THE PALO SANTO TOUR
2019年3月7日(木)大阪BIG CAT
2019年3月8日(金)東京・豊洲PIT
詳細:https://www.livenation.co.jp/artist/years-and-years-tickets

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