ザ・キュアーのロバート・スミス、自身のアルバム14作を振り返る

8.
『Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me』
1987年
Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me

キュアーが『Kiss Me, Kiss Me, Kiss Me』のレコーディングの舞台に選んだのは、南フランスのブドウ園だった。メンバー全員が作曲に携わった初のアルバムである本作が2枚組となったのは、曲作りが楽しすぎて延々と続いたからだとスミスは説明している。「Just Like Heaven」は、バンド史上初めて全米トップ40入りを記録した。



スミス:毎晩のディナータイムが最高に楽しかった。メンバー全員が彼女を連れてきてたから、会話の話題も男だけで集まる時よりもずっと華やかだったしね。

僕は1日のレコーディングを終えると、森の中で気を落ち着けながら新たに曲を書いた。レコーディングもすごくスピーディだった。プロダクションにはあまりこだわらなかったから、曲によってはかなり荒い部分もあると思う。

僕らは「評定委員会」って呼んでたんだけど、全員の彼女をコントロールルームのソファに座らせて、曲を10段階で評価してもらってた。だからこのアルバムには、女性的な視点が多分に反映されてるんだ。「Fight」なんかは人気がなかったね、女の子受けしそうな曲じゃないから。それに対してメンバーたちは、「これぞロックだ! 俺たちはこういう曲を作るべきなんだよ、女々しいやつじゃなくてさ」なんて言ってた。個人的なお気に入りは「Shiver and Shake」だったね、いかにも男っぽいからさ。対照的に、「The Perfect Girl」なんかは女の子からウケが良かった。あのアルバムがいろんな層から支持されて成功を収めたのは、そういう背景があったからだと思う。

『Kiss Me〜』のツアーでロサンゼルスに行った時、ファンの女の子たちが服を脱いでツアーバスの前に横たわって、僕たちの出発を阻止しようとしたことを覚えてる。あの時はこう思ったよ、「このバンドでこんな経験をすることになるなんてな」






※Spotifyはこちら

Translated by Masaaki Yoshida

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