ザ・キュアーのロバート・スミス、自身のアルバム14作を振り返る

6.
『The Top』
1984年
The Top

1982年〜1984年にかけて、スミスは不定期にスージー・アンド・ザ・バンシーズでギターを弾いている。キュアー以外のバンドで活動することは、彼にとってちょうどいい息抜きとなっていた。また彼はバンシーズのベーシストであるスティーヴ・セヴリンと共に、ブリティッシュ・インヴェイジョンにインスパイアされたサイドプロジェクトのザ・グローヴを結成し、1983年に唯一のアルバムとなる『ブルー・サンシャイン』を発表している。翌年の1984年、スミスはキュアーの新作に着手すべく単独でスタジオ入りしたが、その時点でアイディアは皆無に等しかったという。



スミス:契約が残っていたフィクションの連中に半ば強要される形で、僕はキュアーのアルバムを作ることになった。彼らはその気になれば、僕がバンシーズの活動に参加することをやめさせることもできたんだ。

『The Top』は、僕のソロアルバムと言っても過言ではないかもしれない。僕はアルバム一枚を完成させるだけのまとまったアイディアを持ち合わせていなかったし、それが作品にも反映されてると思う。『The Top』はたぶん、キュアー史上最も散漫なアルバムだろうね。

もしかしたら、バンシーズとザ・グローヴでの活動が悪影響を及ぼしたのかもしれない。それがなかったら、自信のあるアイディアは全部キュアーで形にしてただろうからね。ザ・グローヴの「Sex-Eye-Make-Up」と「A Blues in Drag」は、本当は『The Top』に収録したかったんだ。逆に「Dressing Up」は元々ザ・グローヴの曲だったんだけど、セヴリンには聴かせなかった。出来が良すぎたからとっておきたかったんだ(笑)。

『The Top』では、ドラム以外の楽器を全部僕が弾いてる。このアルバムを聴いてると、小さなボンゴやらスプーンやらに囲まれた自分がスタジオの床に座り込んでるっていう、奇妙なイメージが頭に浮かぶんだ。僕は思いつくがままにアコースティックギターを弾いて、(プロデューサーの)デイヴ・アレンにも少し楽器を弾いてもらった。その数週間後に、僕が自分で素材を編集した。曲を録ったというよりも、録音した素材を使って曲を組み上げていく感じだったんだ。

このアルバムが酷評されたことは辛かったよ。それ以降あのアプローチはやらないことにしたんだ、すっかり自信をなくしてしまったからね。


※Spotifyはこちら

Translated by Masaaki Yoshida

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