ザ・キュアーのロバート・スミス、自身のアルバム14作を振り返る

3.
『Faith』
1981年
Faith

スミス自身が認めているように、ザ・キュアーの3作目『Faith』は多難なアルバムとなった。1ヶ月間に渡って複数のスタジオでレコーディングされた同作は、死と疎外感、ドラッグ、そしてアルコールの影響下で生まれた。

スミス:バンドのメンバー全員が家族の死を経験したことが、『Faith』のサウンドに大きく影響したんだ。僕の両親の家のダイニングルームで録った最初のデモは、すごくアップビートだった。でもその2週間後には、バンド内に漂うムードは一変してた。ある夜に僕が書いた「All Cats Are Grey」と「The Funeral Party」が、アルバムのトーンを決定づけることになった。

このアルバムのツアーに出た時、バンドには陰鬱なムードが流れてた。辛い出来事を毎晩ステージ上で追体験するっていうのは精神的に良くなくて、完全にうつ状態になってた。そういう理由で、このアルバムには複雑な思いを抱いてるんだ。

大した規模ではないにせよ、バンドが成功を収めつつあるという事実に、周囲の人間の多くが居心地の悪さを覚え始めてた。僕らのことを妬んで「お前らは変わっちまった!」なんて言ってくるやつらが大勢いたよ。そりゃあ変わりもするさ、ヨーロッパを渡り歩くようになれば毎日同じパブに通うわけにはいかないんだから。僕らは多くの友人を失い、以前にも増して閉鎖的になっていった。記憶がなくなるまで呑んではステージで歌う、そういう毎日の繰り返しだった。








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Translated by Masaaki Yoshida

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