ザ・キュアーのロバート・スミス、自身のアルバム14作を振り返る

2001年撮影のロバート・スミス(Photo by Tim Roney/Getty Images)


10.
『Wish』
1992年
Wish

『Disintegration』のリリースからの3年間で、「オルタナティブ」というジャンルはメインストリームになり、キュアーはファン層をさらに拡大することになった。「Friday I’m in Love」や「High」といった強力なシングル曲にも支えられ、バンドはスタジアム公演を次々と成功させた。コンサートフィルムの『Show』、そして同じタイミングで発表された2枚のライブアルバム(『Show』『Paris』)は、当時のバンドの勢いを如実に物語っている。



スミス:『Wish』の制作中はすごく疎外感を覚えてた。他のメンバーはただ仕事をこなしてるって感じで、僕はレコードを独りで完成させようとしてるみたいに感じてた。何もかもうまくいく日ももあれば、どうしようもなく酷い気分の日もあった。

『Bloodflowers』を除けば、『Wish』は個人的に一番好きなアルバムだね。ただ新鮮さは皆無で、惰性で作っているように感じてた。それってやっぱり良くないんだよ、自分たちの足場を固めようと必死になってるみたいでさ。アルバムを出してファンを増やしてコンサートの規模を大きくしていく、そういうことに僕は興味をなくしてしまったんだ。歌詞の中には僕のそういう思いを反映している部分があるし、ヴォーカルには割り切ったようなドライさが滲み出ていると思う。

『Show』に収められているのはデトロイトでのコンサートで、バンドは絶頂期を迎えてた。あの時点で8年間活動を共にしていて、演奏もすごくタイトだった。その様子を映像として残しておくことにしたのは、『Wish』のツアーを最後にバンドが崩壊すると分かってたからだよ。

最初に抜けたのはポールで、次にボリス、そしてサイモンが去った。(ギタリストの)ペリー(・バモンテ)と僕が次のレコードのデモ作りについて話し合っていた時、ふいに2人で大笑いしたんだ。そういえば一緒にやるメンバーがもういないんだった、ってね。






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Translated by Masaaki Yoshida

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