mouse on the keys、北米ツアーからの歩みと現在地 新曲「Circle」に込めた意思

mouse on the keys

昨年5月に発表したサードアルバム『tres』で「新章突入」を告げたmouse on the keys。もともと内包していた折衷的な要素を、多彩なゲストを迎えて目に見える形で解放したことによって、さらなる可能性を掴んだ作品だったと言っていい。

ニューシングル『Circle』はその先を示した一曲であり、『tres』にも参加していた元envyの飛田雅弘を再び迎え、ギターをフィーチャーしつつ、ある種の原点回帰的な側面も持つ仕上がりとなっている。また、『Circle』というタイトルにはバンドの中心人物である川﨑昭の「ポスト平成」の感覚が反映されていて、今後のバンドにとって重要な一曲となったことは間違いない。昨年11月に行われた北米ツアー以降の歩みから、バンドの現在地に迫った。

envy、BORIS、MONOとかが海外で作った下地が今、より生きてきてる気がしますね。(川﨑)

-まずは昨年11月に行われた北米ツアーについて振り返っていただきたいと思います。全14公演で、その大半をTera Melosとともに回ったんですよね。

新留⼤介(以下、新留):ホントは全部で24公演が決まっていて、西海岸から東海岸を回って、さらに南に行くみたいな、アメリカ全体を回るツアーの予定だったんですけど、残念ながら、ビザの関係で10公演キャンセルになっちゃったんです。実際に行ったら、ライブ自体は反応も良かったし、2016年と2017年にはLITEとスプリットツアーをして、カナダにも何回か行ってたので、そのとき来てくれたお客さんがまた来てくれたりもしたんですけど……やっぱり、キャンセルのショックは大きかったですね。

mouse on the keys North America tour 2018 - 前編(カナダ)


清田敦(以下、清田):でも、トラブルにも慣れてきたというか。気持ちの整理の付け方がわかってきたので、初日のトロントからすんなり入れて、いいライブができたかなって。何度も海外でライブをやってきたので、昔より波の少ないライブができるようになってきた気がします。昔は心の波も、体力の波もあって、いいライブをするとその晩は飲みたくなって飲んじゃって、次の日のライブがガタガタみたいなこともあったけど、今回はいい感じでした。一緒に回ってくれたサックスプレイヤーのDavidも最高だったし、Jaredってドライバー兼ツアマネと、Hello1103っていうVJチームと、チームワークのいいツアーができたと思います。

川﨑昭(以下、川﨑):あと今回は、いつも日本でエンジニアをやってもらってる山下大輔を連れて行けなくて。箱のエンジニアの場合もあったし、アメリカ人エンジニアのJayに来てもらったり、アウトソーシングというか、いろんな人にサポートをしてもらうっていうのは初めてで。表には見えない部分ですけど、組織というか、裏方の部分で今までとは違う実験があって、そのぶんの成果もあった気がします。

-mouse on the keysは現在カリフォルニアを拠点とするTopshelf Recordsから作品をリリースしていて、彼らのサポートも大きかったと言えますか?

川﨑:toe、LITE、tricotも出してるし、台湾のElephant Gymも出してたり、アジアを押さえているレーベルなので、話も早いし、窓口って感じですね。あとBonsoundっていうカナダのブッキングエージェントにはもう5~6年サポートしてもらってます。Mathieuっていう熱い男がいて、「マウス最高だから、俺が一生面倒見る」みたいに言ってくれてるんですよ。この2年ぐらいでアメリカの大きなエージェントにもお世話になっているんですけど、カナダは引き続きBonsoundにお願いしていきたいと言ったら「なんでそんなローカルなエージェントとやりたいんだ?カナダもうちでやらせてくれ」って言われて……ちょっとやりづらかった(笑)。でも大きなエージェントの担当者とはメールでやり取りするだけで、一度も会ったことがないんです。それに対し、Mathieuは必ずツアー中にライブに来てくれるし、必ず一緒に飲みますから。長く付き合えるのはMathieuだと思うので、この関係を大事にしたい。


ニューヨーク公演の様子

-YouTubeやSpotifyでのアメリカの反応に関してはいかがですか?

川﨑:サブスクリプション系はアメリカが断トツに多いんですよ。その次が日本、イギリス、カナダとか。今回のツアーでも、数字はすごく伸びましたね。以前だとBOREDOMSとか少年ナイフの流れもあったから、日本のカルチャー好きは多いと思うし、Topshelfのファンとか、マスロックやポストロックのファンって、結構オタク気質の人が多くて、幼少から日本のアニメで育っていたりするので、より障壁がないんだと思うんで、そこが上手く繋がってる感じがします。Topshelfのスタッフからは、最初にアメリカに行ったときに「学生のときから聴いてたから、ホントに待ってたよ」みたいに言われました。彼らも若いし、アメリカの20~30代ぐらいの層に、「『Sezession』聴いてグッときた」みたいな人たちが多くて。うちらとかtoeとか、日本のバンドへのリスペクトがある子たちが、今レーベルとかバンドをやるようになってるって状況なのかなって。

mouse on the keys North America tour 2018 - 後編(アメリカ)


-当時だと、MySpaceとかで聴いていたのかもしれないですね。

川﨑:envy、BORIS、MONOとかはもっと前から海外に行っていて、そのあとにインターネットやSNSが普及して、彼らが作った下地が今、より生きてきてる気がしますね。マウスもtoeもLITEも、もともとアメリカの音楽に影響を受けてますけど、今のアメリカの若い子の中には日本のバンドからも影響を受けていて、日本のテクニカルというか、きめ細かい感覚の影響があると思います。LITEみたいなフレーズを弾くアメリカのバンドとかいますからね。とはいえ、ロックもブルースもジャズも発祥はアメリカだから、歴史があって、いろんなアーティストがいるぶん、そこと比較して、日本のバンドにも魅力を感じてくれているのかなって。

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