福山雅治、歌のパワーの源流にある「死や別れのリアル」

そんなことを感じさせてくれる映像のBGMは「HEART」で、映像明け、バンドと共に「Heart」を演奏し、ライブ後半をスタートさせた。

前半は弾き語りで“情緒”を前面に出した内容だったが、後半は、「Heart」に続き、バンドと共にデビュー曲「追憶の雨の中で」、更にここ最近の曲「Pop star」「ステージの魔物」を披露した。特に「Pop star」「ステージの魔物」の2曲は“グルーヴ”を前面に出した内容で、超満員の横浜アリーナを煽った。

「ステージの魔物」の後は、“誕生歌(うまれうた)”のランキング発表を続けた。後半はファンからのエピソードを福山自身が紹介し、ある曲は弾き語り、別の曲ではバンドと共に歌った。ライブ本編の最後に歌ったのが、ランキング3位の「道標」。そしてアンコールの2曲目に披露したのが、ランキング2位の「桜坂」。さらにダブルアンコールで披露されたのがランキング1位の「Good night」。改めて聴いていて、曲のどこかに、死や別れというリアルをくぐり抜けた寂しさ・悲しさと、それを乗り越える温もりを感じた。

ライブは「Good night」で終了の予定だったが、鳴りやまないアンコールの拍手。トリプルアンコールへの対応が急遽話し合われ、「MELODY」が披露された。そして、会場全員がサビの部分を大合唱で歌った。会場もライトで照らされていたので、オーディエンスも見えたが、老若男女が入り混じり大合唱しているのはとてつもなく、温かい光景だった。それと同時に、こうした光景も、平成の次の時代には、どんどん見られなくなって行くのだろうなぁと思った。

もちろん、ライブでの大合唱が珍しいわけではない。でも、これだけ世代を越えた人達が歌える歌がどんどん減っている。減っているから悪いわけでもない。ただ、そういう歌にしかないパワーがある。

福山の歌にはそのパワーがある。その歌のパワーを知らない人に、福山のライブを体験してほしいと思った。ステージを去る福山が「一生忘れない夜になりました。ありがとうございました!」と少し照れながら言った。むしろ逆だ。福山の歌があったから、忘れることが出来ない大切な想い出、出会い、別れが人生に増えた人が沢山いる。超満員の横浜アリーナがその証明だ。最後、オーディエンス全員で「ましゃ、お誕生日おめでとう!」と叫んだが、本当は「ましゃ、歌をありがとう!」と叫びたかったのだと思う。

改めて、リアルを歌った福山の歌の力を見せつけられた夜だった。


SET LIST
1.いってらっしゃい
2.Happy Birthday To You
3.はつ恋
4.Squall
5.Beautiful life
6.最愛
7.誕生日には真白な百合を
8.家族になろうよ
9.Heart
10.追憶の雨の中
11.Pop star
12.ステージの魔物
13.HELLO
14.零 -ZERO-
15.聖域
16.甲子園
17.道標
アンコール
18.虹
19.桜坂
20.Good night
21.MELODY


『DOUBLE ENCORE』
福山雅治
ユニバーサルミュージック
発売中

■弾き語りライブアルバム「DOUBLE ENCORE」特設サイト
http://fukuyamamasaharu.com/sp/doubleencore/

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