2018年全米トップ100曲のうち、女性が作ったのは僅か17%という歪んだ現実

テイラー・スウィフトやアリアナ・グランデが表舞台で活躍していても、音楽業界の裏側では男性社会が続いている。(Photo by John Shearer/TAS18/Getty Images for TAS)

USCの音楽業界に関する第二年次報告書で、ジェンダーの平等には相変わらず大きな隔たりが存在する実態が明らかに。「この報告書が示すのは、女性というのは女性であるがゆえに障害と対峙しながら道を進むしかない現実です」と報告書の発起人は語っている。

米国現地時間2月5日に公開された、あるジェンダーと音楽ビジネスに関する報告には既視感が充満していた。この報告とは、南カリフォルニア大学(USC)のアネンバーグ・インクルージョン・イニシアティブのことだ。この中で、2018年のトップ100曲のうち女性アーティストが作った割合はたった6分の1で、業界の裏方として働く女性の比率はもっと低いことが明らかになった。2018年初めに公開されたアネンバーグ・インクルージョン・イニシアティブの第一回目報告書から状況は何ら変わっていないのである。

ビルボードチャートのホット100に登場した2012年から2018年の楽曲、つまり7年間分のサンプル700曲を分析したところ、女性アーティスト、女性プロデューサー、女性ソングライターがほとんど見つからないことが明らかになった。女性ソングライターは全体の12.3%、女性プロデューサーはたった2.1%だったのである。また2013年から2019年まで、グラミー賞の上位5部門にノミネートされた1,064人のうち89.6%が男性で、女性は10.4%だった。同報告書では75人の女性ソングライターと女性プロデューサーに聞き取り調査を行っていて、自分の能力や技術が過小評価されていると考えている人が43%、ステレオタイプな反応や性的対象として見られた経験のある人が39%いた。

「この報告書が示すのは、女性というのは女性であるがゆえに障害と対峙しながら道を進むしかない現実です」と、この報告書を主導した執筆者で、USCのアネンバーグ・インクルージョン・イニシアティブの発起人であるステーシー・スミスがローリングストーン誌に語ってくれた。「今回の報告書の内容の多くは去年の焼き直しと言えるでしょう。ソングライティング・クレジットを分析すると、最もポピュラーな楽曲700曲の約25%には10人の男性ソングライターの名前が必ず登場します。つまり、音楽空間における最も人気のある楽曲のうち4分の1は、歌詞を含めた内容や方向性をたった10人の男性で支配しているということです」と。

Translated by Miki Nakayama

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