2019年グラミー賞総括、女性賞賛と多様性を掲げた授賞式

司会を務めたアリシア・キーズとレディー・ガガやミシェルオバマ (Photo by Emma McIntyre/Getty Images for The Recording Academy)

2019年グラミー賞は、ケイシー・マスクレイヴスやチャイルディッシュ・ガンビーノが大勝した。昨年からの#MeToo運動の煽りを受け、今年の授賞式は大々的に女性のパイオニアたちの功績を称えるものとなった。

2019年グラミー賞は、チャイルディッシュ・ガンビーノとケイシー・マスグレイヴスが最多受賞を果たした。ラッパーは「ディス・イズ・アメリカ」で「最優秀楽曲賞」と「最優秀レコード賞」を、カントリーシンガーは『ゴールデン・アワー』で「最優秀アルバム賞」をそれぞれ獲得した。

マスグレイヴスとチャイルディッシュ・ガンビーノは、各自4部門で受賞。「最優秀楽曲賞」と「最優秀レコード賞」を受賞したラッパー第1号となったチャイルディッシュ・ガンビーノは、「ディス・イズ・アメリカ」で「最優秀ミュージックビデオ賞」と「最優秀ラップ/パフォーマンス賞」を受賞。だが晴れ舞台にも関わらず、ドナルド・グローヴァー本人は授賞式には出席していなかったようで、トロフィー授与には姿を見せなかった。一方のマスグレイヴスは、最優秀カントリー賞(「スペース・カウボーイ」)、最優秀カントリーソロパフォーマンス賞(「バタフライズ」)、さらに最優秀カントリーアルバム賞を受賞した。

2019年のグラミー賞は、昨年の授賞式の尻ぬぐいをする形となった。#MeToo運動まっさかりの昨年は、女性の地位向上を訴えるメッセージが強かったわりには女性の受賞者が極端に少なかった。その後、こうした男女格差について質問されたレコーディング・アカデミーのニール・ポートナウ会長は、女性はもっと「ステップアップ」するべきだと答えてさらに反感を買った。

今年司会を務めたアリシア・キーズは、昨年の不祥事を可能な限り是正するという任務を喜んで務めた。音楽業界の力関係が変わりつつあるという主旨のメッセージで華々しく幕を開け、レディ・ガガやジェイダ・ピンケット・スミス、ジェニファー・ロペス、ミシェル・オバマらとともにステージを飾った。「今夜は音楽を通して、互いの功績を称えましょう」と言ったあと、キーズは女性たちに目配せして、観衆に問いかけた。「ちょっと失礼・・・世界を動かしているのは誰かしら?」

受賞者の顔ぶれを見ればお分かりのように、決して口先だけで終わらなかった。カーディ・Bは『インヴェイジョン・オブ・プライバシー』で女性ソロアーティストとして初めて「最優秀ラップアルバム賞」を受賞。マスグレイヴスは、2015年のミランダ・ランバート以来初めて「最優秀カントリーアルバム賞」を受賞した女性アーティストとなった。「最優秀新人賞」を受賞したデュア・リパも、受賞スピーチでポートナウ会長の発言に直接言及し、ぴしゃりとこういった。「最初に言わせてください、今年はこれだけ多くの女性アーティストと一緒にノミネートされて本当に光栄です。だって、今年私たちは本当にステップアップしましたから」。

Translated by Akiko Kato

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