サンダンス映画祭を揺るがした、マイケル・ジャクソンの衝撃的ドキュメンタリー

1988年のツアー時に専用機内で撮影されたマイケル・ジャクソンとJimmy Safechuck(当時10歳) (Photo by Dave Hogan/Getty Images)


本作が描くのは、性的虐待がもたらす心の傷の深さ、モラルを忘れさせてしまう名声という名の誘惑(特に被害者の両親が標的となりやすい)、そして好意を持った人物に傷つけられることで生まれる複雑極まりない心的状況だ。同時に本作は、世界中の人々に愛されるスーパースターの素顔が、時としてそのイメージとはまったく異なるという事実を示している。

上映後にリードがRobsonとSafechuckをステージに招き入れた時、客席からは3人の勇気を讃えるスタンディングオベーションが起き、その拍手は1分近く続いた。ステージ上で「過去を変えることはできない」と語った2人は、ジャクソン側をこれ以上追求することはできず、事件に決着がつくことはないと話した。心の傷は完全には癒えていなくとも、彼らはこうして自分たちが胸の内を明かすことで、同じような被害にあって苦しんでいる人々が名乗り出てくれることを願っていると語った。(客席にいたある人物は、自身も幼い頃に性的虐待を受けたことを明かし、同作に勇気付けられたと語った。またこれまでに性的虐待にまつわるケースを数多く扱ってきたというある弁護士は、本作が性的犯罪に関する法律の変更を促すかもしれないと話した)

上映が終わった午後1時前、メインストリートに陣取っていた数名が掲げた「マイケルは無実」というプラカードは、本作を観終えたばかりの人々の目には空虚なものとして映ったに違いない。パンドラの箱が開かれた今、そこから目をそらすことは不可能だ。

Translated by Masaaki Yoshida

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