RYUJI IMAICHIライブレポ:音楽と人に「感謝」を捧げた濃密な空間

昨年の「LIGHT>DARKNESS」さいたまスーパーアリーナ公演の様子(Courtesy of rhythm zone)

2018年1月、配信シングル「ONE DAY」でソロデビューを果たした三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEの今市隆二が、8月から全国11カ所を巡る初のライブツアー「LIGHT>DARKNESS」を開催。2万2000人の観客に加えて、ライブビューイングで8000人が目撃した、18年12月1日のさいたまスーパーアリーナ公演の模様をレポートする。

※この記事は昨年12月25日発売の「Rolling Stone Japan vol.05』に掲載されたものです。

“キング・オブ・ポップ”を彷彿とさせる歌とダンス

どんなに深い闇であったとしても、強い意志があれば光は見つかるーー「LIGHT>DARKNESS」と銘打たれた今市隆二のライブは、そのコンセプチュアルなテーマを貫きつつも、彼が影響を受けたブラック・ミュージックへの真摯なオマージュと、国民的ポップスターとしての矜持、そして関わるすべての人々への感謝を湛えた、真のエンターテインメント・ショーだった。

アリーナへと向かう扉を開けると、既に場内は満席。見上げると三階まで観客がいっぱいで、2万2000人の期待に満ちた空気に、こちらまでテンションが上がってくる。客層は想像よりもずっと幅広く、親子連れやカップルの姿も目立っていて、世代を超えた今市の人気ぶりが伺える。センターステージではなく、エンドステージ仕様となっているのも、三代目 J SOUL BROTHERSのライブとはまた違った雰囲気で興味深い。ホワイトを基調としたステージセットで、正方形の格子をランダムに重ねたような幾何学的なデザインのバックも目を引く。

照明が落ちると、ペンライトの白い光が星空のように場内を覆い尽くす。神話の世界を思わせる荘厳なオープニング映像では、アルバム『LIGHT>DARKNESS』の「INTRO」とともに冒頭のメッセージが伝えられ、あたかも一大叙情詩の幕開けのようだ。そしていよいよ今市が登場すると、場内は2万2000人の大歓声で埋め尽くされる。全身白のエレガントな衣装に身を包み、ダンサーを率いて現れたその華麗な姿は、“キング・オブ・ポップ”と謳われたマイケル・ジャクソンさえ想起させる。


Courtesy of rhythm zone

煌びやかなホーン・サウンドに導かれ、一曲目に披露されたのは、「Catch my Light」。LL BROTHERSのTAKANORIらとともに作詞したこの曲は、1970〜80年代のディスコ/ファンクに現行のダンスミュージックのエッセンスを加えて構築されたナンバーだ。リスナーを輝かしい未来へと誘うポジティヴなメッセージを含めて、幕開けを飾るのにこれ以上に相応しい楽曲はない。オールドスクールの香りが漂う小粋なダンスにもまた、良い意味でイメージを覆される。今市が、これほど心憎いエンターテイナーだったなんて……!

続く「LOVE THIEF」ではさらにソウルフルな歌声を響かせ、カッティングギターとハンドクラップの軽やかな音色に心躍らせられる「Angel」では、観客たちとコール&レスポンスをする一幕も。EXILE TRIBEのルーツにあるニュージャックスウィングに、RYUJI IMAICHI流の回答を示した「THROWBACK」では、そのタイトル通りにロッキングを取り入れた懐かしくも新鮮なダンスを披露。ステージ上にはバーカウンターが登場し、背景の幾何学模様はカラフルなプロジェクションマッピングで彩られ、実にムーディーな雰囲気だ。

さらに、EXILEの隠れた名曲「Change My Mind」(2007年)をカバーするといううれしいサプライズまで。 あまりに楽しい時間の連続に気付かなかったが、ここまではほとんどアルバムの収録順通りである。『LIGHT>DARKNESS』の完成された世界観を、生のパフォーマンスでしっかりと堪能してもらいたいということなのだろう。マサ小浜(Gt)を始めとしたバンドメンバーは、言うまでもなく折り紙つきの実力派で、3人の外国人コーラスも楽曲に豊かな厚みを与えている。ダンサーたちのパフォーマンスも紛れもなく一級品だ。キーボードの素晴らしいソロプレイが披露された瞬間、隅々にまでライブならではの楽しみが散りばめられた贅沢なステージであることを実感した。

サビの優しく繊細なメロディラインが耳に残るメロウネスなR&Bナンバー「Diamond Dance」からは、グッとテンポを落として、さらにロマンチックなムードに。美しく鍛えられた裸体を披露し、サングラスを外すと、客席からは黄色い歓声が上がる。まるで女性と踊るようにスタンドマイクを扱うダンスも洒落ていて、なんともセクシーだ。その艶やかな余韻が残る中、「Listen……」という呟きとともに披露されたのは、ソロデビュー曲の「ONE DAY」。正統派のR&Bに真正面から挑んだこの楽曲が発表された時は、その洗練された音楽性に随分と驚いたものだが、生で鑑賞すると、そうした資質はもともと今市に備わっていたものなのだと納得する。そのピュアで表現力豊かな歌唱は、このような楽曲でこそ実力を発揮するのではないだろうか。

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