ドーターのエレナ・トンラが語る、失恋から生まれたEx:Reのブルーな世界

エクス:レイことエレナ・トンラ、渋谷で撮影。(Photo by Hikaru Hagiwara)

ロンドン出身のインディー・バンド、ドーターでヴォーカル&ギターを務めるエレナ・トンラが、Ex:Re(エクス:レイ)名義で初のソロ・アルバム『Ex:Re』をリリースした。「Regarding Ex(元恋人について)」という意味も持つプロジェクト名通り、恋人との別れをテーマにした今作は、メランコリックなサウンドに乗せて女の情念ともいえる言葉が紡がれていく、きわめてパーソナルなレコードだ。自身が所属する4ADのショウケース・イベント「Revue」に出演した翌日、同作の制作背景について聞いてみた。

―ブルーをバックにエレナさんが佇むアートワークがすごく素敵です。これはどこで撮影されたのでしょうか?

友人で私のポートレートも撮ってくれた、マリカ・コチアシュヴィリ(Marika Kochiashvili)のアイディアなんです。その日は家を出たくない気分だったから、彼女に私の自宅まで来てもらって……。ブルーの要素は後から加えたんですが、どこかアンナチュラルというか、エイリアンっぽい雰囲気が気に入っていますね。

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―この表情はどんな気持ちを表している?

何枚かマリカに撮ってもらって、このショットが一番良いなと思ったんです。なぜかと言うと、ひと目ではどういう表情なのかが読み取れないから。誰かとケンカして怒っているのか、あるいは何かに怯えているのか? そのどちらにも受け取れますよね。気の強いイメージと、フラジャイルで儚いイメージ。アルバムにもそういった側面があると思ったので採用しました。

―「ブルー」という単語は、1曲目の「Where the time went」や「Romance」の歌詞にも出てきますよね。あなたがブルーに惹かれる理由は何だとお考えですか。

そう言っていただいて、私も今はじめて気が付きました(笑)。たしかにブルーはアルバムのキーカラーだと思いますし、マリカにも私にも今回の作品はブルーだなというイメージがありました。そしてエクス:レイの世界観というか、主人公が住んでいる世界もまたブルーなんだろうなって。気持ちを表す「ブルーになる」っていう言葉があるように、悲しみとか憂鬱に関連付けられる色としても素敵だなって思います。


―この表情というか構図で連想したのが、ジョニ・ミッチェルの『ブルー』(1971年)や、エレナさんも大好きなジェフ・バックリィの『グレース』(1994年)でした。あなた自身がエクス:レイの世界と繋がっていると思う作品を挙げるとしたら、どんなアルバムでしょうか?

難しい質問ですね……。『Ex:Re』は私個人の人生とか、悲しみ、憂鬱な気持ちを描いたアルバムなので、他の作品はすぐには思い付きません。でも、もしそれが『グレース』なのであれば、私自身も大好きなアルバムだから光栄です。もちろん、ジョニ・ミッチェルも素晴らしい作品ですしね!

―ポーティスヘッドの『ダミー』(1994年)はどうですか?

他の方にも「ポーティスヘッドを思わせる」って指摘されたんですけど、少しでも近いものを感じてくださったなら嬉しいです。

―あのアルバムもブルーのジャケットでしたし……。

そう! 世の中にはブルーな作品ばっかりですね(笑)。

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